“iPhone旋風”の中で、頭角を現した実力派たち:ITmediaスタッフが選ぶ、2009年の“注目ケータイ&トピック”(ライター神尾編)(2/2 ページ)
2009年が「iPhoneの年」だったことに異論を挟む余地はない。しかし、その一方で、着実に実力を付け、頭角を現してきた実力派がいた。Appleにも負けない物づくりができると感じたメーカーとは。
2009年、注目した端末は?
では最後に、2009年に筆者が注目した端末をいくつかあげていきたい。今年の端末販売市場は逆風のさなかであったが、その一方で、各メーカーのたゆまぬ努力により、魅力的なモデルが多数登場した。
- iPhone 3GS(Apple)
もはや言わずもがなであるが、iPhone 3GSは今年を代表する1台だ。とりわけ筆者が高く評価するのが、これまでのケータイと違うモデルでありながら、女性層など新しいユーザー層を取り込んだこと。そして、1つのファッションであり、ブランドとして成長していることだ。また、iPhone向けアプリは新しいモバイルインターネットの世界観と市場を創出しており、モバイルIT業界全体に大きく貢献している。
- Pocket WiFi(Huawei)
3G内蔵モバイルWi-Fiルータはそれほどめずらしいコンセプトではないが、Pocket WiFiはデザインや小型軽量化に注力し、一般ユーザーが手に取りやすい商品になっているところを評価したい。また初期設定済みで出荷されるため、ユーザーは買ってきてすぐに使える。データ通信端末というと、ドライバのインストールなど、とかく難しくなりがちだが、これから必要なのは「誰でも簡単に使えること」だ。その点でPocket WiFiはとても優れた内容になっている。
- キッズケータイ F-05A(富士通)
今年、小学一年生になった子どもに買ってあげたのが「F-05A」だ。そして実際に使ったところF-05Aの子ども向けに考え抜かれた操作体系や機能、さらに子どもが使って楽しいと感じる工夫の多さに舌を巻いた。富士通の強さを実感した1台である。
- N-01B(NEC)
今年iPhoneと並んで注目だったのが、「オートGPS対応iコンシェル」だ。N-01BはドコモのSTYLEシリーズの中でこのサービスに対応した数少ないモデルの1つである。
N-01Bのデザインはかつてのiμの流れをくむ薄型・折りたたみタイプで、オーソドックスであるが使い勝手はよい。ダイヤルキーは押しやすく、本体左側面にページ送りのボタンが配置されているので、右手に持ってメールや携帯サイトを見るのに適している。UIデザインには不満はあるものの、総合力は高く、筆者自身も今期の新モデルとして常用している。
最後に今年話題になったAndroid端末「HT-03A」については、筆者はコンシューマー向けの製品としてまだ未成熟だと感じた。Windows Phoneも同様だ。しかし、AndroidやWindows Phoneは2010年には魅力的なコンシューマー向けのモデルが登場しそうであり、そちらには強く期待している。
端末市場は2010年、従来型の携帯電話とスマートフォン、データ通信端末や新コンセプト端末などが入り交じるモザイク模様になるだろう。しかし、そのような混沌とした中でも、多くのユーザーが「使いたい」と感じる商品企画とデザイン、そして「誰でも分かりやすい」UIの洗練に注力してもらいたい。モバイルでこれから起きるイノベーションや最新トレンドに、多くの人が参加できるように裾野を広げていく。それこそがモバイル端末に求められる役割ではないだろうか。
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