NOTTVモニターキャンペーン 可能な部分から早急な改善を
NTTドコモが4月1日にスタートした「NOTTVモニターキャンペーン」に対して、多くの不満の声が上がっている。これはNOTTVや対応端末の問題というより、キャンペーンで体験できる内容に問題があるように感じる。可能なところから、少しずつでも改善していってほしい。
NTTドコモが、スマートフォン向け放送局「NOTTV」の開局に合わせて4月1日から始めたNOTTVの「モニターキャンペーン」。端末を借りて約2週間NOTTVのさまざまな機能が試せるという触れ込みだったため、多くの希望者が申し込みをしているようだが、一部で問題が発生している。
問題とは、モニター機の「AQUOS PHONE SH-06D」で「NOTTVアプリでエラーが発生し起動できない」というもの。NOTTVのモニターのために貸し出された端末でNOTTVアプリが立ち上がらないため、ネット上には不満の声も見られる。この問題は、ドコモ側でも認識しており、ソフトウェアの自動更新を利用して順次修正中だという。手動更新では機能制限に引っかかり更新できないが、自動更新でならアップデートできるため、ほどなく問題は解消される見込みだ。
また、このモニターキャンペーンの目的はあくまでも“NOTTVの体験”なので、対応端末としてSH-06Dか「MEDIAS TAB N-06D」のいずれかが借りられるが、これらの機種を自由に試用できるわけではないことにも批判が出ているようだ。
どういうことかというと、貸出機には機能制限がかけられているのだ。モニターキャンペーンへの申込ページに明記されているが、料金プランがデータ専用プランになっており、通話をすることはできないほか、「NOTTV利用以外の機能は制限」されている。広報部によると「NOTTVサービス、Webへのアクセス、spモードは利用できるようにしていますが、それ以外の機能は制限させていただいています」とのことだった。Webアクセスは、spモードフィルタが適用されており、フィルタリング対象のサイトにはアクセスできない。
モニターの方の協力を得てスクリーンショットを提供してもらったのだが、何かしようとすると「あんしんモード」アプリによるパスワード入力画面が出るそうなので、スマートフォン向けの利用制限機能であるあんしんモードを使って、機能を限定しているようだ。
またWi-Fiの利用も制限されている。Twitter連携機能は、自分のアカウントを設定してタイムラインの閲覧はできるが、投稿はできない。Facebookも同様で、閲覧はできるが投稿はできない状態。この点は、モニターから「投稿したい」との声も届いているそうで、対応を検討しているとのこと。
つまり、SH-06DやN-06Dを購入前に体験してみたい、という目的でモニターに申し込んだユーザーは、目的が果たせないということだ。モニターの申込時に注意書きや但し書きをしっかり確認していればこういうことにはならないだろうが、ここまでがんじがらめに拘束しなくてもいいのではないか、と思える対応だ。せめてパケット通信やアプリのダウンロード/インストールくらいは自由にさせてもよかったのではないだろうか。
そもそもNOTTVは、ワンセグのようにどの端末でも見ようと思えば見られるサービスではない。つまり、NOTTVに契約してもらうためには、まずその前提としてNOTTVに対応した端末を“新しく買ってもらう”必要がある。NOTTVの魅力を感じてもらうためには、それ以前にNOTTV対応端末の魅力も感じてもらう必要がある。それなのに、端末の機能を制限するメリットはあるのか。こんな状態で、モニターユーザーにいい印象を持ってもらうのは容易ではない。
もちろん管理上の理由など、いろいろな事情はあるだろう。販売促進ではなく、あくまでも体験してもらうのが目的だ、という言い分も分からなくはない。しかし、単純に“NOTTVだけを体験してもらう”ので本当にいいのか。それではせいぜい「見られた」「見られない」「おもしろい」「つまらない」という話で終わってしまう。それよりも、端末の魅力も合わせてモニター体験を考えるべきではないだろうか。SNS連携機能も、投稿ができてこそのものであり、早急に対応した方がいい。タイムラインが見られるだけなら、他のTwitterクライアントで十分だ。
現状のモニターキャンペーンでは、いろいろな制約の下で起きている不具合や不自由さが、イコール「端末の出来の悪さ」とユーザーに受け止められてしまっている側面もある。これは大変不幸なことだ。SH-06Dの充電台の大きなアンテナは、ACアダプタを接続しないと利用できないことや、返却時に16GバイトのmicroSDを抜いて“処分”する必要があることなども、もっと分かりやすく案内した方がいいだろう。
もともとNOTTVは、視聴可能なエリアも狭く、開始直後からポジティブなモニターコメントがたくさん寄せられるサービスとは言いがたい。少しでもいい印象を持ってもらい、有益な情報を拡散してもらいたいのなら、ネガティブな要素はなるべく排除すべきではないだろうか。モニター規約にある「第13条 参加モニターは、本モニターに際し知り得た当社の業務上、技術上、その他一切の情報を参加モニターの責任による適切な管理のもと秘密として取扱い第三者へ漏洩してはなりません。」という一文も、再考したほうがいい。これではTwitterなどにあふれている多くのモニターユーザーの感想は、規約違反ということになってしまう。
今のままでは、興味を持ってくれた人に対して、自らの手でその芽を摘んでいるようなものだ。ドコモには、9月までのモニター期間中、ぜひともキャンペーン内容のブラッシュアップを期待したい。
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