音楽で差別化を図る「UULA」/「LINEマストバイ」とは?/MNP抑止のカギを握るドコモショップ:石野純也のMobile Eye(2月4日~15日)(3/3 ページ)
キャリアの発表が一段落したここ2週間は、コンテンツやサービスの発表が続いた。今回はソフトバンクとエイベックスの動画視聴サービス「UULA」とLINEのマーケティングに関する新しい取り組み、そしてドコモの「ショップスタッフ対応コンテスト」について取り上げる。
スマートフォン時代のキャリアショップを模索するドコモ
ドコモは5日、全国のドコモショップ店員を集め、「ドコモショップスタッフ応対コンテスト マイスター・オブ・ザ・イヤー2012」を開催した。コンテストには、北海道、東北、関東・甲信越、北陸、東海、関西、中国、四国、九州の9地域の予選を勝ち抜いた代表が集まり、あいさつや質問の仕方、ニーズの把握、ツールの活用方法、知識などが審査された。
コンテストでは、「iPhoneへのポートアウト抑止」「新規・買い替え相談」「端末のフリーズ」「端末の充電不良」という4つのケースが用意され、出場者には30分前にどれが当たるかを知らされる。優勝したのは、北海道代表のドコモショップ苗穂店に勤める徳永飛鳥さん。徳永さんには、ドコモの代表取締役社長 加藤薫氏から、トロフィーや賞状などが授与された。
ドコモがコンテストを主催しているのは、「彼女(ショップのスタッフ)たちが一所懸命がんばっていることの発表の場でもあり、応対の水平展開を大きな目的にしている」(取締役常務執行役員 田中隆氏)からだ。今回の応対の様子も「実は中継もしているが、スタッフは見ている時間がないので、後からも見られるようにする」(同)という。映像はショップの研修などにも活用されるそうだ。
背景には、スマートフォンへの急激な移行に伴い、ショップスタッフの負担が増しているという事情がある。優勝者の徳永さんによると、1人1人に対する接客の時間は「非常に長くなった」といい、次のように語る。
「タブレット、フォトパネル、キッズケータイも扱っているので、家族で来て半日お店にいることもあります。故障で訪れた場合も、データの一括転送ができず、データが消えることの説明もしなければいけません。料金の説明にしても、月々サポートがあり、メリットになることでも情報量が圧倒的に多い時間は、フィーチャーフォンの2倍はかかっています」
端末の性質がフィーチャーフォンとは大きく異なり、ユーザーのスキルが追いついていないことに加え、料金プランや購入方法もここ数年で目まぐるしく変わってきた。スタッフにはアプリについての知識も求められるが、「初めてスマートフォンを使う人には、ドコモから出ている媒体であれば宣伝できますが、片や故障の原因にもなるので難しい」(同)と悩みはつきない。
ドコモもタブレットを使い、「ある程度場所があってフロアにスタッフがいるところでは、モックや実機を触って待っている間に、端末の料金は他社のスマートフォンの比較などを見ていただく。このタブレットは(ドコモの顧客管理システムである)『ALADIN』にも連動させて、料金プランや住所の変更、新サービスの契約など、できるものはそこで手続きする」(田中氏)ことを検討している。カウンターが空くまでの待ち時間を、タブレットで有効に活用していく構えだ。昨年開始した「安心遠隔サポート」も、こうした施策の一環と言えるだろう。
コンテストではiPhoneへのMNPを抑止するケースも想定されていたが、田中氏によると「ドコモからもいい商品が出ているので売れてはいるが、iPhoneが強い部分は当然ある。そういう意味で言うと、ショップに来らる方でiPhoneに変えたいというお客様は多い」という。
MNPを検討するユーザーに対し、徳永さんは「アフターサービスならドコモ」ということをアピールしていくという。Apple製品の場合、サポートがすべてApple Storeでの対応になり、「実際にリサーチをすると、スタッフの人が不親切というわけではないが、親切でもない」という状況が見えてきた。特に「デジタル製品に詳しくない人もいる」(同)中で、手厚いサポートがあることは重要だ。その上で解約金などの費用を説明し、ドコモ同士の通話が多いのなら通話料が安くなることや、よく使うエリアでの基地局数、北海道でのスループットなどを伝え、再考をうながす。iPhone 5のディスプレイと同じ4インチのカードも常備しており、大画面のメリットを伝える際の比較に活用しているそうだ。
MNPでの転出超過で1人負けが続くドコモだが、一方でスマートフォンの販売台数は計画を上回る伸びを示しており、Xiへの移行も順調に進んでいる。その最前線を支えているスキルの高いショップのスタッフたちは、ドコモにとっての“防波堤”と言えるのかもしれない。
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