大解説! Tegra 4シリーズの「性能密度」に迫る:Mobile World Congress 2013(4/4 ページ)
スマートフォンやタブレットの頭脳となるモバイルプロセッサの進化が、インテリジェントなカメラとビデオを実現する。それを可能にするTegra 4の「性能密度」とは?
Tegra 4で改善した「4+1コア」の動き
Tegra 4では、この機能に改良を加え、CPUが繰り返し利用するデータを格納しておく2次キャッシュメモリを、4つのコアで共有する2Mバイトの領域とは別に、省電力動作のシングルコアにも専用の512Kバイトの領域を確保することで、省電力動作時は2Mバイトの2次キャッシュメモリも完全にオフにして、さらに消費電力を削減できるようにしている。NVIDIAは、Tegra 4シリーズの開発にあたり、数ミリワット単位の省電力化を積み重ねることで、このシリーズを搭載するスマートフォンの待機電力を10ミリワット台にまで抑えることを可能にしている。
NVIDIAが普及価格帯のスマートフォン向けとする、Tegra 4iでは、同社が2011年に買収した英IceraのLTEモデムも統合し、スマートフォンの設計を容易にしている。しかも、Iceraの携帯通信用モデムは、ソフトウェアモデムという手法を取ることで、アップグレードも容易にできる特徴を持つ。Tegra 4iに統合する「i500」ソフトウェアモデムは、より高速なLTE規格にも将来的に対応できる半導体設計を実現している(ただし、通信規格の認証などを受ける必要があるため、製品レベルでアップデートができるとは限らない)。
NVIDIAは、Tegra 4iを第2四半期中に顧客向けにサンプル出荷を開始する予定だ。このとき、Chimeraなどもサポートしたスマートフォンのリファレンスデザインも示すことで、パートナーメーカーが製品を開発する時間の短縮や負荷軽減を図る。これにより、2013年の年末にはTegra 4iを搭載したスマートフォンが市場に登場する見込みで、Tegra 4iのバリュークラスモデルを採用する製品の実売予想価格は100ドル台と、従来の高性能なスマートフォンが低価格で購入できるようになりそうだ。一方、上位モデルのTegra 4については、2013年第2四半期中に採用モデルが登場し、2013年後半には日本市場でも製品が店頭に並ぶとみられている。新しい写真表現をスマートフォンやタブレットデバイスで楽しめるようになる時期も、そう遠いことではなさそうだ。
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