auの“厳選”夏モデルとエリア誤表記の関係/Google I/Oから垣間見えたメッセージ:石野純也のMobile Eye(5月13日~24日)(3/3 ページ)
5月20日にKDDIが新製品を発表したことで、夏商戦向けのモデルがすべて出そろった。iPhone 5の4G LTEエリアの実人口カバー率の誤記について、消費者庁から措置命令が出たことも話題を集めた。これら2つに加え、開発者向けイベント「Google I/O」について取り上げる。
OSの急激な進化も踊り場か? Google I/Oから見え隠れしたGoogleのメッセージ
Googleは、5月15日から17日(現地時間)にかけ、開発者向けイベントの「Google I/O」を開催した。ここ数年は、Androidの新バージョンやNexusシリーズが発表されていたこともあり、開催前には数々のウワサが飛び交っていたが、ふたを開けてみると、今年のGoogle I/Oは、“開発者のためのイベント”という本来の趣旨が色濃く出たものだった。
4時間近く続けられた基調講演では、Google マップやGoogle+のリニューアルに加え、定額のストリーミング音楽サービス「Google Play Music All Access」が発表された。まず、Google マップはデザインや機能を一新する。Android版のUI(ユーザーインタフェース)は、現在iPhone向けに提供されているものに近くなり、画面上部に検索のウィンドウが、画面左下には位置情報を取得するボタンが置かれる。各種メニューは右下に表示されるといった具合だ。「Google Earth」との連携もシームレスになる。
Google マップのプロダクトマネージャー、Berni Seefeld氏が「あなたにとってと、私にとってのランドマークが異なる」というように、Google+の情報に基づき、オススメされる地図上の情報も異なる仕組みだ。デザインは画面サイズごとに異なるが「機能は完全に統合されている」(同)といい、タブレット向けにも同様のものが提供される見込みだ。マップのリニューアルは、夏を予定している。
対するGoogle+は、Web版のレイアウトを3カラム表示に変更。写真を大きく見せるなど、大胆なデザインを採用した。また、自動で写真を編集する機能を新たに搭載。すでにAndroidには撮った写真を自動でアップロードする機能が備わっている。これと組み合わせると、アップロード、編集、公開という流れが、すべてGoogle+上で完結するようになる。一方で、先に挙げたように、Google+の情報はGoogle マップのパーソナライズにも使用される。また、プロダクトマネージャーのBradley Horowitz氏が「SNSを超えたもの」と述べているように、Google+はGoogle Play Music All Accessや、開発者向けに発表された「Google Play game services」の基盤にもなっている。SNSとしてはイマイチ盛り上がりに欠けるように見えるGoogle+だが、各種サービスをつなぐプラットフォームになろうとしているようだ。
Google Play Music All Accessは、月額9.99ドルで楽曲が聞き放題になる、定額の音楽ストリーミングサービス。楽曲の編集や、パーソナライゼーションにも対応するが、残念ながら現時点では日本では利用できない。
このほか、Google I/Oの基調講演では開発ツールの「Android Studio」や、位置情報、プッシュ配信に関する開発者向けAPIの数々が発表された。ユーザーの目線で見ると盛り上がりに欠ける印象も受けるが、Google I/Oは本来、開発者向けのイベント。Androidは2013年に年間9億アクティベーションを超えるプラットフォームで、端末も数多く世に送り出されている。新バージョンのOSや、端末を発表するより、むしろそれらに依存しない発表の方が開発者にとってはメリットも多い。実際、Google I/Oに参加していた数名の開発者に話を聞いたが、評判は決して悪くなかった。Androidも数の上ではトップシェアの地位が固まり、iOSに及んでいないアプリのエコシステムを重視し始めたといったところなのかもしれない。
新たにAndroidとChrome OSの両方を統括することになったSundar Pichai氏が基調講演の冒頭で2つのOSを挙げ、「開発者にとって十分スケーラブルなオープンプラットフォーム」と述べていたように、当面はこれがGoogleの主力となりそうだ。ウワサされていた両OSの統合も、まだ先になりそうだ。
関連キーワード
Google | Google+ | Google Play Music All Access | Google I/O | 地図 | 音楽 | Google Play | プラットフォーム | ユーザーインタフェース | Chrome OS | 開発支援ツール | Google Chrome | 音楽配信 | Android Studio | Google Play game service | Google Earth | Google Maps | プッシュ型
関連記事
- 「石野純也のMobile Eye」バックナンバー
石野純也のMobile Eye(4月30日~5月10日):ソフトバンク夏モデルと“最強のネットワーク”の中味/au LTEエリア化の今後
連休の狭間を挟んだ今回は、4月30日にKDDIとソフトバンクが決算会見を開催し、5月7日にはソフトバンクモバイルが夏商戦向けの機種他サービスを発表した。今回はソフトバンクの新機種やau決算会見で挙がったトピックを解説したい。厳選4モデル! KDDI、auスマートフォンの2013年夏モデルを発表
KDDIは、2013年夏モデルのAndroidスマートフォン4機種を発表した。IGZOと大容量バッテリーの長時間駆動、F1.9のレンズ、1秒15コマ連写など新機能を導入したモデルがそろった。3M戦略第2弾は「ユーザーとのリレーション」──KDDI2013年夏モデル発表会
KDDIは、5月20日に2013年夏モデル4機種の発表会を行い、製品の特徴と合わせて、3M戦略第2弾として掲げる「スマートリレーションズ構想」の内容を説明した。iPhone 5の4G LTE人口カバー率誤記、KDDIに消費者庁から措置命令
auのカタログやWebサイト上に、iPhone 5で「4G LTE」の下り75Mbps通信が利用できる実人口カバー率を誤記していた問題で、KDDIは消費者庁から再発防止策を含む措置命令を受けた。auの総合カタログやWebサイトに誤記――iPhone 5の4G LTE 実人口カバー率に関して
KDDIが、auの総合カタログやWebサイトに誤記があったことを告知した。iPhone 5の4G LTEについて、実人口カバー率は2013年3月末に96%に拡大予定とし、iPhone 5を含むとしていたが、誤りだった。石野純也のMobile Eye 特別編:料金最強、ネットワーク最強、端末の機能も数カ月先行――KDDI田中社長らが語る「iPhone 5」と「LTE」
テザリング対応や料金プラン、そしてエリアの広さや通信速度、基地局数――。iPhone 5をめぐり、あらゆる点で“ガチンコ対決”を繰り広げるソフトバンクとKDDI。改めてKDDI側の優位点を聞いた。月額9.99ドルの音楽サービスや新メッセージングサービス──Google I/Oで発表されたこと
Googleの開発者会議「Google I/O 2013」の最初の基調講演では、サブスクリプション制の音楽サービスや統合メッセージングサービス「ハングアウト」、PC向けハンズフリー検索機能などが発表された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.