同質化の戦いから新しい価値の訴求へ――KDDI田中社長に聞く、2014年度の戦略(2/2 ページ)
2014年度は「ガツンと行く」。そう力強く話すKDDIの田中社長。社長就任以降、2011年は事業基盤の立て直し、2012年は成長起点の年、2013年は新たなステージの初年度と位置づけて取り組んできたが、2014年度はどんな年を目指すのか。
LTE-Advanced、VoLTE、au WALLETで“価値”を訴求する
―― LTEや端末の差は、3社でなくなりつつあると感じています。そうした中で、KDDIとしてはどう差別化を図っていくのでしょうか。
田中氏 2014年は、いくつか価値を訴求できる技術の導入があります。1つはLTE-Advancedに向かっていくこと。もう1つは「VoLTE」が始まること。それに合わせて料金も(変えていく)。アッパーレイヤーでは、「au WALLET」を始める(→KDDI、電子マネー“カード”「au WALLET」構想を発表)。これはどんどん進化していきます。2013年度は、同質化の中でキャッシュバックなどの戦いになったけど、バリューをちゃんと訴求して、次の世代のスタートになるんじゃないかと思う。面白いんじゃないですかね。各社さん違いが出てくると思いますよ。
櫻井氏 先日小山ネットワークセンターで実施した3.5GHz帯での実証実験(→KDDI、小山ネットワークセンターで3.5GHz帯活用技術をアピール)は、見る人が見れば、かなり実用化に近いレベルの実験です。他社さんよりも、一歩先に次のネットワークに行けるだろうという自負を持っています。
auスマートバリューは全国125社213局と、auスマートパスは全国303社1069タイトルと提携しています。これは利用者が多いというだけではなく、パートナーにとってのメリットがあります。お客さんに失礼な言い方をしてしまうと、お客さんをパートナーに送客できるということ。パートナーにとって価値がある基盤を構築できたことが、他社のサービスと違うところです。月額372円(税別)でCP(コンテンツプロバイダー)さんとレベニューシェアするので、KDDIのもうけは、実は大したことがないんです。でもお客さんが増えることで、パートナーにメリットがある。そういう基盤を整備できたと思っています。
2014年は、基盤の上に新たな価値を加えていきます。その第1弾がau WALLETです。au WALLETは、ポイントカードと電子マネーから成るサービスですが、リアルな生活の中でメリットを作って、そこの消費活動が通信に返ってくるという還元を目指します。auスマートパスではバーチャルの世界(コンテンツプロバイダー)がパートナーですが、au WALLETではリアルな世界の人たちとも広げていきます。スマパスで作った世界をリアルな世界でも作っていこうと。(発表会で)流通規模1兆円と言っていましたけど、本音を言うと、auのもうけは大したことないんです。auスマートパスと同様、パートナーと一緒に、お客さんが使いやすい世界を広げていきたいですね。
―― VoLTEの開始時期はいつごろいなるのでしょう。
田中氏 みんなに聞かれるけど言っていない。ドコモさんが一番最初に発表されるんじゃないかな?
―― VoLTEの開始に伴い、通話料金の見直しも期待されます。
田中氏 選択肢が出る方向にいくんじゃないですかね。3G(ケータイやスマートフォン)のころは、選択肢だらけだったのでよく分からん、ということで、ソフトバンクさんがホワイトプランで音声を1本にされて、データ(パケット定額サービス)も3つくらいあった。これも(LTEになって)1本になった。シンプルな方がいいとなったけど、最近の議論で、7Gバイト制限がある中で3Gバイトしか使っていないという人もいるので、(7Gバイトと3Gバイトに)分けるべきだという話もある。でも、データ量ってどんどん上がってきていますよね。
社内に韓国の女性がいるんですが、1カ月に(スマートフォンで)12Gバイト使っていると話している。韓国の利活用が先に行っている。
―― LTE-Advancedが導入されると、7Gバイトなどの通信制限は緩和されるのでしょうか。
田中氏 あまりそれはリンクしていないですね。料金体系がたくさんあると、みんな説明しないといけない義務があります。そうなると説明時間が長くなる面もあって、そのへんの折り合いもありますね。社内の中ではまだ検討段階、フィックスしていないですね。
―― 最後に、2014年度をどのような年にしたいか、教えてください。
田中氏 次のステージの初年度にしたい。やっと新たなテクノロジーや、au WALLETにもチャレンジできるので、これを恐れることなく推進していきたいと思っています。ガツンと行くよ。応援をよろしくお願いします。
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