海外プリペイドSIM導入マニュアル――「ロシア・モスクワLTE」編:英語が通じないせいでトラブルも?(1/2 ページ)
ロシアでもLTEサービスが各社からはじまっており、プリペイドでも利用することが可能だ。モスクワ市内は通信事業者や量販店の店が多くSIMの購入も苦労はいらない。唯一問題なのは英語が通じないことだが、翻訳アプリを使いながら筆談すればSIMの買い物も何とかなった。
LTEの普及が進んでいるロシア
ヨーロッパとアジアに広がる広大な国土を有するロシア。旧ソビエト時代の面影も街のあちこちに残るなど、ほかのヨーロッパ諸国とはまた異なった異国情緒を感じることができる。とはいえロシアを訪問するには今でもVISAが必要で、その取得も若干煩雑だ。そのため連休にちょっと出かけてくる、といったお手軽旅行ができないのが不便なところである。
今回はロシアの首都、モスクワを訪問した。日本からはアエロフロートやJALが直行便を出しているほか、乗継便を利用すればフライトの選択肢は多い。モスクワには国際空港が3カ所あるので、自分のフライトの到着先と市内までの足はきちんと確認しておきたいところだ。空港から市内までは空港鉄道やバスも利用できる。
またモスクワ市内は地下鉄が縦横に走っており、環状線もあるなど地下鉄だけでも観光地を移動することもできる。地下鉄は各駅に窓口があり回数券を購入できるほか、トロイカカードと呼ばれるICカードもあるのでキャッシュレスでの乗車も可能。なお地下鉄5号線と8号線は車内に無料Wi-Fiも飛んでいる。
2014年5月現在、ロシアの通貨1ルーブルは日本円で約2.95円。空港での両替レートが悪いことは他国と同様だ。街中には両替所が多いがドルとユーロのみ扱うところもあり、日本円を扱うところは大きめの両替所を探すか銀行で、となる。また銀行のATMは国際カードも利用できるものが多いので、クレジットカードのキャッシングを利用するのも手だ。
さて、ロシアには地方の通信事業者やWiMAX事業者のYotaなど多数の企業が携帯電話サービスを提供しているが、全国展開している大手の事業者は3社となる。蜜蜂をイメージしたロゴのBeelineブランドでサービスを行うVimpelCom、赤い看板のMTS(ロシア語でSはCと表記するので、看板はMTCとなる)、そして緑のロゴのMegafonの3社だ。各社LTEも始めており、プリペイドでも利用できる。これら3社に加え、携帯電話の大手量販店もあり、それぞれが街中に店を構えている。プリペイドSIMを買う場所はモスクワの至る所で見つけられるわけだ。
モスクワの各空港にもこれら量販店や通信事業者の店舗があるので、空港到着後すぐにプリペイドSIMを入手して活用できる。データ通信料金も他国より安いようで、ホテルのネットが不調でもLTE対応SIMを買えばそれでまかなうこともできそうだ。なお、ロシアではSIM購入時に身分証明書を提示しての登録が必要なため、どこで購入してもカウンターに並んでパスポートを提示、処理してもらうのに多少待つ必要がある。
今回初めてモスクワを訪問し、プリペイドSIMを買う時に筆者が必要と思ったことは以下の3つだ。
- ロシア語入力アプリ
- 翻訳アプリ(Google翻訳など)
- プリペイドSIMを買うときだけは、ドコモの「海外1dayパケ」を利用すること
LTE | W-CDMA | |
---|---|---|
VimpelCom | 2600MHz(B7) | 2100MHz |
MTS | 2600MHz(B7)、2600MHz(B38、TD) | 2100MHz |
Megafon | 800MHz(B20)、2600MHz(B7)、2600MHz(B38、TD) | 2100MHz |
Megafonの6000円ルーターセットは最強
さて、本来は購入した順番にモスクワでのプリペイドSIM情報を書いていくのが筋かもしれないが、今回筆者が空港で購入したプリペイドSIMは使い勝手がよくなかったため、市内で購入したMegafonから紹介したいと思う。Megafonはドモジェドヴォ空港にもカウンターがあるので、そこでの購入もオススメだ。
モスクワで通信事業者や量販店を回ってみたところ、一番困ったのが店員と会話ができないこと。というのも英語ができる人はほとんどおらず、あるお店では来客していた一般のお客さんが親切に通訳をしてくれたほどだった。そのため、自分のスマートフォンに翻訳アプリを入れておき、それを使って店員と筆談会話することがほとんどだった。そのためにはオフラインで利用できる辞書アプリ、ロシア語の入力アプリをあらかじめ日本で入れておこう。あるいはSIMを買うときだけローミングでデータ通信を使う必要がある。相手側が英語を書くこともできないので、紙のメモ帳を使っての筆談は難しい。
とはいえ、商品の売り方は単純明快なので、言葉が通じないこと以外は購入のハードルは低いと感じた。Megafonの店を訪れ「データ通信、SIM」をロシア語にしたスマートフォンの画面を見せると店員もうなずいてショーケースにあるプリペイドSIMのパッケージを指差してくれた。この際、店内で積極的に客に声をかけている店員をつかまえるとけっこう親切に対応してくれる印象を受けた。こちら側も積極的に翻訳アプリの画面を見せた方が店員の対応もスムースだ。どの店でも筆者が最初に見せたのは「私は日本人です、ロシア語が話せません」のロシア語翻訳画面だ。
ということでMegafonでプリペイドSIMを買おうと思ったが、利用できるデータ量にいくつかの種類があるという。どれにしようか悩みつつ、ショーケースを眺めていたらLTE対応のWi-Fiルーターが1999ルーブル(約6000円)という手軽な値段で売られていた。あらかじめSIMロックフリーのルーターやスマホも持っていたが、この値段ならルーターを買ってしまってもよさそうだ。しかも翻訳アプリで説明する店員によると「2週間、データ定額」だという。ちょうど移動中にもノートPCでファイルを送受信する必要もあったため、こちらを購入することにした。
MegafonのルーターはHuawei製のもの。パスポートを提示し登録を済ませ、1999ルーブルはクレジットカードで支払いを済ませた。SIMをルーターにSIMを入れてアンテナマークが立つと「4G」の表示が出たことを確認。これで滞在中は思う存分LTE回線を利用できる。
ところが店を出て手持ちのスマホからルーターに接続すると、Megafonのユーザーページが表示されるだけで外のサイトへは移動できない。急いで店に戻ると店員が集まってあれこれ協議、SIMを変えたりサポートセンターに確認した結果、2週間無料のSIMが現在開通できない状況になっているとのことだ。
ここで「それでは困る」などと言ってもらちは開かない。もちろん交渉したい人は交渉すべきだろうが、データ料金がそれほど高くないのであれば、別途プリペイドSIMを買ったほうが手っ取り早い。ということで翻訳アプリを使い「私は別のSIMを買う」と伝え、あらためてデータ通信対応のプリペイドSIMを購入することにした。
このように現地でルーターなりSIMを買った際は、ルーターの場合はほかの端末から接続して問題なくネットにアクセスできることを確認すべきなのだが、今回はモスクワで格安でルーターが買えたため、その確認を怠ってしまったのだ。
SIMをスマートフォンに入れる場合や、手持ちのルーターに入れて使う場合のAPN設定は以下の通り。
- APN……internet
- ユーザー名……なし
- パスワード……なし
購入したプリペイドSIMの価格は15Gバイトで890ルーブル、約2630円。ライトユースなら3Gバイトで350ルーブル、約1030円というプランもある。いずれにせよデータ通信料金は定額ではないとはいえ、他国より割安だろう。利用残高を確認する方法を聞くのを忘れてしまったが、15Gバイトもあれば使い切ることもないだろうと気にせず使っていた。
通信速度は、スクリーンショットを撮るのを忘れてしまったが、場所にもよるが30~50Mbpsはコンスタントに出ていた。これなら仕事でも十分実用的な速度だろう。なお地下鉄の駅はホームでもLTEが入るところが多く、電車に乗る寸前まであれこれ調べ物ができるのは便利だった。
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