ドコモ、KDDIは株主総会、ソフトバンクはファンミーティングを開催━━株主の質問から読み解く「販売現場で起きていること」:石川温のスマホ業界新聞
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが相次いで株主総会を開催した。とりわけ、ドコモの株主総会の様子を振り返ると、今後、携帯電話の販売現場で起こるであろう“問題”が見えてくる。
今週(6月14日からの週)は、大手キャリアの株主総会が3日間続いた(18日KDDI、19日NTTドコモ、20日ソフトバンク)。
株主総会では、株主からの質疑に答える時間があり、これが結構、楽しかったりする。ソフトバンクは株主総会と言うより「孫正義ファンミーティング」といった雰囲気であり、「孫さんを応援したい。でも配当で儲けたい」という株主がとても多い。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年6月20日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
ただ、3社の株主総会は全体的に、メディアやアナリストから質問とは角度が異なり、ユーザー寄りだったり、CMが「面白くない。わかりにくい」という難癖に近いものがあったりと、「これ、社長や役員はどう答えるのか」という緊張感が何とも言えない。
議長である社長や役員の前にはモニターがあり、円滑に答えられるように別室に控えるスタッフが模範解答を表示させるのだが、当然のことながら、株主が聞きたいことと、模範解答が微妙にズレているものだから、いかに自然な言葉で回答するかが勝負と言うことになる。
ドコモ加藤社長、KDDI田中社長、ソフトバンク孫社長は、いずれも株主総会の経験も多く、慣れた感じで、質問に受け答えしていた。
ただ、某キャリアは、新任の役員が多いこともあり、株主総会の質疑応答を3回もリハーサルするなど、用意周到で臨んだようだ。
今回、気になった質問としては取り上げたいのが、NTTドコモの株主総会だ。
株主から「SIMロック解除できるということで、ショップに行ったが『できません』と言われて、取り扱ってもらえなかった。過去の端末はSIMロック解除できるのか、できないのかどっちなのか」という質問が来た。
これに対して、阿佐美取締役は「2011年4月から、3000円をいただくが、SIMロック解除には対応している。ただし、昨年、総務省からガイドラインが出ており、2015年5月からの端末は6ヶ月間、対応できない。過去にお買い上げの端末は店頭で、解除対応している」と回答した。
阿佐美取締役の回答は「その通り」と言えるほどのまさに模範解答だ。しかし、株主は「ショップで取り合ってもらえなかった」と言っていた。株主が正しいことを言っているとすると、ショップスタッフのSIMロック解除の知識がなかったということになり、ショップスタッフの教育を強化するという話につながっていく。
NTTドコモの株主総会では「お客様相談窓口」が用意され、株主と言うより、ドコモユーザーとしての不満、クレーム、困り事を受け付けるカウンターがある。
SIMロック解除の質問をした株主に対して、お客様相談窓口で対応したところ、何と、株主は「ソフトバンクのショップに行って、ドコモのSIMロックを解除してもらうとしていた」ことが判明したのだという。
ドコモ契約で使っていた端末を、ソフトバンクショップでSIMロック解除をして、ソフトバンク契約で使おうとしていたようだ。
そりゃ、ドコモの端末をソフトバンクに持ち込んで、SIMロックを解除してもらうというのは無理な話だ。
ただ、この株主の質問は示唆に富んでいて、一般のユーザーからすると、SIMロック解除というのは相手先でやるものだという思い込みがあったということだ。今回、たまたまドコモ株主が株主総会で質問したからこそ、ドコモの経営陣がそのような事態を知ることになったが、もしかすると、そこら中のキャリアショップで似たような問い合わせが頻発していることが予想される。
5月以降に発売された端末が180日を超える今秋以降、同様のトラブルが全国各地で起きると思うと、いまからキャリアショップの人たちは頭が痛いのではないだろうか。
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