「プレミアムコース」で“良安スマホ”に/iPhoneも扱いたい――mineoが進む次のステップ:MVNOに聞く(3/3 ページ)
「mineo」の契約数は2016年10月時点で40万を超えており、好調に推移している。直近で注目したいのが、混雑する時間帯でも高速通信を約束する「プレミアムコース」。同コースを始め、mineoの現状をモバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏に聞いた。
IIJのKDDI回線とは、いきなりは全面戦争にならない
―― IIJもKDDIの回線を使用したプランを開始しました(関連記事)。mineoにとっては、Aプランのライバルが増えましたね。
上田氏 もともと、IIJさんは法人向けにはKDDIのSIMは使われていたので、いつ個人向けにやるのかな? と見てはいました。
―― やはり脅威に感じていますか?
上田氏 そうですね。やはりIIJさんがされるというのもありますので。一方で、IIJさんはauのVoLTE SIMのみを扱っているので、いきなり全面戦争というよりは、徐々に土俵が広がっていくような感じだと見ています。
―― IIJmioではVoLTE非対応SIMが使えないですからね。
上田氏 (VoLTEに対応しない)古い端末を使いたい人にはmineoを選んでいただけると思うので、そこの部分は救われています。一方、長期的に見て、VoLTE対応端末にリプレースされていくと考えると、脅威かなと思います。
―― 9月にサービスインした「LINEモバイル」は、どう見ていますか?
上田氏 Webサイトの作りや申し込みの方法を見ると、しっかりされているなという印象です。LINEというコミュニティーの多さ、かつ若者に浸透していること、シニア層もそれに引っ張られて使っているリーチの強さを考えると、注視していく必要があると思っています。
―― LINEモバイルではLINEやTwitter、Facebookの通信料をカウントしないカウントフリーを打ち立てています。mineoでも同様の施策を行う予定はありますか?
上田氏 ポケモンGOやSNSしかりですが、今のところ、カウントフリーのサービスは考えていません。mineoには節約スイッチがあって、これをオンにすると通信速度は200kbpsに抑えられますけど、月間のデータ量は減らないので、そちらをアピールしたいですね。200kbpsでもSNSやポケモンGOだったら使えますよと。
―― 3日間の通信制限もないのでしょうか。
上田氏 Aプランのみ、ネットワーク混雑回避のために、直近3日間(当日を含まない)に6GB以上のご利用があったお客さまについては、KDDIから通信速度が終日制限される場合があります。ただ、KDDIさんが20GBのプランを発表されたタイミングで、速度制限を3GBから6GBに緩和されています。
―― このKDDIを始め、20~30GBの大容量プランを提供する事業者も増えてきました。mineoではいかがですか?
上田氏 大容量プランは考えていません。今、うちのお客さんで一番利用者が多いのは3GBで、60%ぐらいを占めています。500MB、1GB、3GB、5GB、10GBというプランの中で10GBを契約されている方は数%なので、20GBや30GBを作っても、われわれのターゲットとは違うかなと。
―― 5分以内の通話を無料にするといった、通話定額サービスを提供するMVNOも増えてきました。mineoでも30分/60分の無料通話を含む通話定額30/60を提供していますが、通話オプションを拡張する予定はありますか?
上田氏 通話定額30/60を契約されている方はすごく少ないです。音声定額サービスの要望は出ていますが、本当に加入している方は実は少ないのかなと。他社の通話定額も、入っていて数%ぐらいなのではないかと思っています。ただ、mineoにだけないのも見え方として悪いので、検討はしています。
端末はarrows M03が圧倒的に売れている
―― 最近はau VoLTEに対応したSIMフリー端末が増えています。mineoでの売れ筋はどのあたりでしょうか。
上田氏 9月1日から「arrows M03」「HUAWEI P9 lite」「ZenFone Go」を販売していますが、売れているのは圧倒的にarrows M03で、7~8割ぐらいを占めています。もともとは均等に売れると思っていたのですが、見事に予想を裏切られました。mineo限定カラーのグリーンが一番売れています。今、必死で追加発注をしているところです。
―― arrows M03はミッドレンジですが、ハイエンドモデルの投入は検討していますか?
上田氏 端末のバラエティが少ないのが課題だったので、増やしていきたいとは思います。ハイエンドなのかタブレットなのか、どのへんにするかは検討中です。いろいろな使い方に対応できるものを考えていきたいですね。
取材を終えて:通信品質をどこまで上げられるか
ここ最近、特定サービスの通信量をカウントしない“カウントフリー”に乗り出すMVNOが増えているが、mineoではそこは追従せず、プレミアムコースで通信品質を高めることに注力した。
KDDI回線を扱う事業者としては、大きく勢力を伸ばしている「UQ mobile」、ついに個人向けにもKDDI回線サービスの扱いを開始した「IIJmio」など、ライバルも強力だ。特にUQ mobileはランチタイムでも実効速度が本家au並みに速く(参考記事)、Aプランでは苦戦しているmineoには挽回が求められる。プレミアムコースを利用しない通常の速度も、もう少し頑張ってほしいというのが正直なところだ。
同社はmineoユーザー全員でデータ容量をシェアできる「フリータンク」や、コミュニティーサイト「マイネ王」など、他社サービスでは見られない取り組みも展開している。こうしたユーザーに寄り添った施策で“ファン”が多いだけに、ベースとなる通信品質をいかに高められるかが、鍵を握っているといえる。
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