日本のスマホシェア4位に――2016年にHuaweiが躍進した理由:石野純也のMobile Eye(12月5日~16日)(2/3 ページ)
2014年にSIMフリー市場への本格参入を果たし、徐々に存在感を高めてきたHuawei。スマートフォンメーカー全体の中で4位につけるなど、シェアも急上昇している。Huaweiはなぜここまで躍進できたのだろうか?
カメラ機能ではiPhoneを先行、機能だけでなくデザインも進化
ブルーオーシャン戦略で日本市場を開拓してきたHuaweiだが、それだけで端末が売れるわけではない。大前提として、端末そのもののクオリティーが上がっていることも、成功の要因といえるだろう。その証拠に、同社はグローバルでミッドレンジ以上の製品開発に注力しており、成果も出始めている。呉氏によると、2015年と2016年の第3四半期で比較した際に、400ドル以上500ドル未満のスマートフォンのシェアは16.5%から19.7%に、500ドル以上600ドル未満では19%から25.1%に上がったという。これは、P9などの製品がグローバルでも評価されていることの証といえるだろう。
中国メーカーというと他社の後追いが多いと思われがちだが、Huaweiは研究開発への投資も惜しみなく行っている。最近では、P9でコラボレーションしたライカと、9月に共同研究開発センターをドイツに設立。「ワイドアパーチャ」と呼ばれる2つのカメラで背景をボカす機能は、日本で2015年に発売した「honor6 Plus」から搭載しており、その後、他のメーカーにも広がりを見せている。同モデルの発表自体は2014年。「iPhone 7 Plus」が2016年、ようやくツインレンズを採用したことを考えると、リードタイムは2年弱になる。
以前はチープな印象のあった端末デザインも、ここ数年で大きく変わり、むしろ価格以上の高級感が出るようになった。これも、Huaweiが得意とする研究開発の成果のようだ。2015年に呉氏は、筆者のインタビューに答える形で、次のように述べている。
「フランスのパリで、デザイン研究センターを設立しました。そこでは、欧州で最先端のデザインをする、優秀なデザイナーたちを雇用しています。また、日本においても、研究所を作っています。こちらの研究所の目的は、優れたデザインを実現する部材を調達することです。(中略)デザインが変わったという点では、チーフデザイナーに新しい方を迎え入れたのも、大きな理由ですね」
部材という点では、傘下のHiSiliconが、「Kirin」と呼ばれるチップセットを開発していることもHuaweiにとってプラスに働いている。スマートフォンの基幹部品であるチップセットを自社に近いところで作り、いち早く端末に投入することで、差別化が図れるというわけだ。実際、Mate 9には最新の「Kirin 960」を搭載しており、パフォーマンスアップを図ると同時に、省電力性能にも磨きがかかってくる。その姿は、ディスプレイやチップセット、カメラセンサーを自社で開発し、市場を席巻してきたかつてのサムスン電子と重なって見える。
基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO」
関連キーワード
華為技術(Huawei) | SIMロックフリー | UQ mobile | MVNO | 楽天モバイル | iPhone | Leica(ライカ) | 石野純也のMobile Eye | 総務省 | HiSilicon
関連記事
P9との違いは?――「HUAWEI Mate 9」はココが進化した
「HUAWEI Mate 9」は、「フラグシップモデル」と呼ぶにふさわしい仕上がりになっている。一方、同じくフラグシップモデルである「HUAWEI P9」との違いも気になる。Mate 9は何が進化したのだろうか?進化したライカカメラを搭載――5.9型の「HUAWEI Mate 9」、12月16日発売
Huaweiのフラグシップスマホ「HUAWEI Mate 9」が日本で発売される。5.9型ディスプレイに最新のプロセッサ「Kirin960」や4000mAhバッテリーを搭載。ライカと共同開発したカメラはさらに進化している。「HUAWEI P9」を欲しいと思う5つの理由/残念なところ
Huaweiの最新スマホ「HUAWEI P9」が6月17日に発売される。数あるSIMフリースマホの中でも、このP9は特に「欲しい」と思えるデキだ。その理由を紹介したい。デザインを洗練させてカメラ機能を強化、熱対策も――Huaweiの“生き残り”戦略
HuaweiがSIMロックフリースマホを本格展開してから1年がたったが、同社は今の市場をどのように捉えているのか。同社の最新戦略を、日本で端末事業を統括するデバイス・プレジテントの呉波(ゴハ)氏に聞いた。「グローバルでの競争力」と「日本での経験」が強み――SIMフリー市場を攻めるHuaweiの勝算
Huaweiが6月下旬に発売を予定しているSIMロックフリースマホの「Ascend G6」の価格は2万9800円(税別)で、キャリアが販売する端末よりもはるかに安い。ファーウェイ・ジャパンの担当者が、SIMフリー市場参入の背景を説明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.