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始まりはユーザビリティの向上〜必然から生まれたリボルバースタイルその特徴あるスタイルに目が奪われがちの「A5305K」。もちろんデザインにも大いにこだわって生まれたのに間違いはないが、その根本には「ユーザビリティの向上」という命題があった。そしてデザイン、機能のすべてがユーザビリティの向上につなげられている。折りたたみケータイへの疑問から生まれたリボルバースタイル「今までの折りたたみケータイのユーザビリティに対する疑問から始まったんです。最近の端末は大きな背面カラー液晶まで備えているのに、カバーを開けないとできないことが多すぎる。アンケートなどでもストレート端末の使い勝手を望む声もありました。そこで閉じたままでもメインディスプレイがフルに使える回転型、つまりリボルバースタイルの発想が生まれたわけです」 自らも折りたたみケータイをラインナップしつつ、それをいったん否定する発想からリボルバースタイルは生まれた。きっと誰もが一度は思う疑問を、そのまま商品化につなげたわけだ。さらにストレート端末を望む人の声が影響しているのも興味深い。 「カバーを開けた時と閉じた時、どちらも同じ操作体系のほうが当然ソフトウェアの開発は楽なんです。しかし閉じた状態ですべての機能を使える必要はないはず。通話したり、メールを読んだりといった頻度の高い機能だけで十分なはずだ、と。そこでカバーを開けた状態と閉じた状態で異なる操作体型にしたんです」
カバーを閉じた状態でメインディスプレイがフルに使えても、利用可能なボタンなどは当然限られる。本機では上下操作と決定キーを兼ねるレバーと、操作を1段階戻るバックキーだけだ。合わせてメニュー構造やキーに対する機能割付けを、カバーを開けた状態と閉じた状態でそれぞれに最適化している。 通常のメニューが3×3の4方向キーで操作しやすいタイプなのに対し、カバーを閉じた状態で現れるメニューは縦一列となり側面のレバーだけで操作しやすくなっている。もちろん単に機能を絞り込んだだけではなく、その階層構造までが最適化された。単に機能へのショートカットができるカスタマイズメニューなどとは全く異なるのだ。 「さらにカバーの回転を操作の1つとして取り込みました。カバーを開けて電話を取る、閉じて切るといった直感的な操作はもちろん、10キー部の操作が必要な機能、つまりカバーを開ける必要がある、メールの返信、撮影した画像をその場で送信といった機能に結びつけたわけです。カバーを開くという操作が、開ければ必要な操作ができるという有意義な操作に生まれ変わったわけです」 カバーを開くことが必然的な操作に直結しているのは非常に直感的で分かりやすい。誤解なきよう付け加えておくが、電話をかける、受けるといった操作はカバーを閉じたままでも可能でこちらも便利だ。ただカバーを開けたほうが見た目にも自然だし、マイク部の位置などもより理想的な位置になる。何よりカバーを開けて通話、閉じて終話というのは非常に分かりやすい。 ユーザビリティの追求はカメラ機能にも
「ムービー対応ということでカメラ機能にこだわりました。まずカバーを閉じたまま横向きに持って、側面のレバーをシャッターとしてあたかもデジカメのようなスタイルで撮影できます。A1013Kで好評だった“レンズカバーを開ければ撮影”も採用しています。もちろんレンズカバーを閉じればカメラモードは終了しますから、その操作は極めて分かりやすくて自然なはずです」 本機は背面にレンズ部が装備され、レンズカバーにカメラ機能が連動している。当たり前の動作と思う人もいるかもしれないが、レンズカバーに動作が連動しないカメラ付ケータイは多い。 「カメラ付きという意味では薄さにはこだわりました。せっかくのデザインを壊したくないからです。カメラユニットには薄いものを選択してますし、レンズカバーにもこだわりました。レンズカバーは非常に薄いんですが、スライド機構にはちゃんとベアリングが入ってます。薄いのにスムースに動いて、しっかりした動作感があるのはこのためです」 なるほど、確かにレンズカバー部の動作の質感は見事なものだ。開ける時も閉める時もスムースで「カチッ」とカバーが固定される。カメラ付きだからといって厚くなるのは許されないし、もちろんカバーにも手抜きは許さない。どうしてもカメラ以外に目がいくが、実はこだわりにこだわった部分なのだ。 あくまで電話機らしくーその中でこだわったデザイン
「実はPDA風のデザインも考えました。しかしそれではマニア層には受けても、多くの人が受け入れてはくれない。あくまで携帯電話らしいデザインで、それでいて斬新に、ですね。カバーを閉じた時は上部にあるスピーカー部は回転がイメージできるようにデザインしました。実際には軸の部分ではないんですけどね。今まで折りたたみ型を使っていた人が違和感なく受け入れられる、この点は重視しました」 本機のデザインは確かに目立つが、閉じていても開いていてもその雰囲気はあくまで携帯電話。確かにこの点は多くの人に購入してもらうという意味で重要だ。 「デザイン面は徹底してこだわってます。例えば赤のようなソリッドカラーは普通の塗装だとどうしてもプラスチック然としてしまうんですね。自動車のような鮮やかな赤を表現したかった。そこで自動車塗料メーカーに強力を仰ぎ、通常の数倍の膜厚の塗装で鮮やかな赤を実現しています」 「実は側面も見てほしい部分です。普通はここにケースの合わせ目が入るんですが、側面のパーツで挟み込むことで継ぎ目をなくしてスマートなイメージを追及してます。イヤホンマイクカバー部も通常だとゴム製のカバーですが、樹脂製のカバーを採用してその存在自体が気づかれないくらいにしています」
本機は同社初の5000番シリーズということもあり、機能だけでなくデザインやサイズにもこだわりたかったと言う。5000番シリーズなので多機能は当たり前、ならばほかにもこだわりがなければ魅力的な端末になり得ない。まずデザイン、サイズが決定し、そこから設計が始まった。このため設計グループは大いに苦労をしたという。 「最初、通信コネクタは一般的な下に来るはずだったんです。それがいつの間にかデザインでは上になっていました。携帯電話は高周波を扱うので、アンテナの横という配置は実は都合が悪いんです。ただ上のほうがデザイン的には収まりもいいので、苦労してこの配置にしました。実はコネクタが下にあれば、発売は1カ月早かったかもしれません」 そして今後の製品の礎にまだまだ本機にはこだわった部分が沢山ある。例えばあたかもマイク部分に見えるスリットは、実はカバー閉じた状態ではカバー部の突起が綺麗に収まりぐらつきを防止しているし、強度確保のための見えない部分の工夫等も満載なのだ。こういった点が評価されてか、目立つスタイル以上に機械的な完成度を評価されることも多いという。 「あれが凄いとかこれが凄いとかいう製品もいいんですが、もっと単純にワクワクできる製品を作りたかったんです。そういう意味では本機は狙い通りの製品に仕上がっていると思います。これからもシンプルな1000番シリーズ、多機能な5000番シリーズの2面展開で製品化を進める予定ですが、今後多機能製品を製品化していくためのとっかかりはできたと思っています。基本的なUIの改善なども進めて、もっと良い製品を作り出して行きたいですね」 最後にこうまとめて頂いた。リボルバースタイルは同社の新たな定番として、これからもまだまだ進化していきそうだ。 |