映像コンテンツ視聴のスタイルが変わる?──KDDI「ケータイ×TV連携 FMBCスマートプラットフォーム」:CEATEC JAPAN 2009(2/2 ページ)
KDDIが、CEATEC JAPAN 2009の会場で、「ケータイ×TV連携 FMBCスマートプラットフォーム」のデモ展示を行っている。お勧めの番組を、見たいときに環境に合わせて視聴できるこの技術は、映像コンテンツの視聴スタイルを大きく変える可能性がある。
ケータイ・TV連携ニュース視聴
番組を短く再編集してしまう機能のほかに、ニュース番組などでは「見たいものだけ」を抽出して映像をチェックする機能も用意している。それがケータイ・TV連携ニュース視聴機能だ。
ケータイ・TV連携ニュース視聴機能は、録画済みのニュース番組や情報番組から、ニューステキストに該当する映像シーンを抜き出してテレビ上で再生するというもの。携帯電話上でニュースのタイトルを確認して見たいものにチェックを付けておくと、帰宅後にワンタッチで見たいものだけテレビで視聴できる。文字の情報だけでは分かりにくいニュースや情報を、映像で確認したい場合などに便利な機能だ。
ニュースやトピックの抽出は、録画データを保持するSTBで行う。まずは番組を解析してニューステキストとして重要な語句を抽出し、さらに番組に含まれる字幕や文字情報などのメタデータを解析して対応付け、番組シーン解析によってトピックの切れ目を検出し、特定の話題に該当する番組中のシーンを抜き出す。
なお視聴したニュースのデータはユーザーの嗜好データとして記憶され、ユーザーが興味を持ちそうなニューステキストを携帯電話上で優先的に表示するので、使い込んでいくと、ユーザーが関心を持っている話題が次々と引っかかるようになる。
この技術は、どちらかというとテレビで映像を効率よく見るための準備を、携帯電話側でやっておくようなイメージで、携帯電話側で簡単に内容が確認できるテレビダイジェスト視聴機能とは用途が異なる。
ファミリーコンテンツおすすめ視聴
こうした家や外出時に便利な機能のほかにも、リビングルームなどで録画映像を見ているときに、関連する情報をテレビや携帯電話に表示する機能として、「ファミリーコンテンツおすすめ視聴機能」も紹介されている。
この機能は、自宅に設置したSTBとレコメンドサーバ、そして個人が認識できる携帯電話が連携して提供する。STBと携帯電話はBluetoothを使って部屋の中に特定の人が居るか居ないかを認識し、その情報に合わせてTVに表示する情報を制御する仕組みだ。例えば父親と母親と娘の3人家族の家庭では、母親と娘の2人が部屋にいる場合はその2人が共通して興味を持ちそうなテーマの情報を表示する。そこに父親が加わる(正確には父親の携帯とSTBがBluetoothでペアリングされる)と、3人の好みに合わせた映像や広告、ネット上の情報に書き換わる。このとき、各人が携帯電話で情報取得のためのアクションを起こした場合は、その人に最も適した情報が携帯電話の画面に表示される。
ここでは、個人の好みを、各種の操作履歴と年齢や性別などの属性から推定し、家族属性とコンテンツ属性の関係を「確率的手法(ベイジアンネット)」でモデル化している。家族の好みは、個人の好みの推定結果と家族のタイプから推定する。例えば父親と母親では父親の意志決定権が強い、といった情報を過去の履歴などから推定して、父親と母親が2人で映像を見ている場合は父親寄りの好みに合わせたがコンテンツを表示したりもするという。
同時に、番組のキーワードなどを自動的に抽出し、それぞれの家族のメンバーの好みに合わせてネット上から情報を収集する機能も提供。映像を見るだけで、関連した情報も合わせて知ることができる。
これらの技術は、商用化の時期はもちろん、商用化するかどうかもまだ未定とのことだが、auの光ファイバーサービス「ひかりone」向けのSTBとして配布するような利用形態をイメージしているという。おすすめのTV番組をどんどん自動録画する機能や映像を処理する機能などを備えるため、それなりの性能のCPUやそれなりの容量のHDDが必要になると思われるが、実現すればテレビの見方が大きく変わる可能性を秘めている。
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