「日本市場をリードしたい」――端末とインフラから見るHuaweiの“強み”(2/2 ページ)
高速データ端末やPocket WiFi、デジタルフォトフレームなど、国内メーカーとは一線を画する商品ラインアップで支持を集めている中Huawei。また同社は、HSDPAやLTEなどの基地局ベンダーとしても知られる。Huaweiは今後、日本市場でどのような展開を目指しているのだろうか。
LTE端末はスピーディに供給できる
ITmedia LTEインフラについて、御社はソフトバンクモバイルと実証実験を進めています。進捗状況はいかがでしょうか。
チン氏 ソフトバンクモバイルさん以外についても市場開拓を進めていますが、具体的な商用計画はまだありません。そのほかの通信事業者さんの計画を待っている状況です。
ITmedia HSDPA基地局を提供したイー・モバイルにもLTE基地局を提供する予定はあるのでしょうか。
チン氏 現状は未定ですが、イー・モバイルさんはパートナー関係にあるので、必要とされればサポートしますし、その準備はできています。
ITmedia LTEの実証実験ではどの程度の速度が出たのでしょうか。
チン氏 ソフトバンクモバイルさんと行った実験では、周波数と端末の制限があったので理論値には近づけませんでしたが、弊社が(日本で)独自に行った実験では、理論値に近い100〜150Mbpsが出ました。これは、実験室で端末と基地局をRFケーブルで接続して実施したものです。
ITmedia LTEサービスが開始すれば、対応端末をどれだけそろえられるかも重要になります。LTE端末を供給する準備も整っているのでしょうか。
チン氏 端末開発にはチップセットが重要です。2010年の下半期にチップセットがそろえば、LTE端末を開発できます。弊社はチップメーカーとの関係も深いので、業界をリードしていけるでしょう。LTE端末はゼロから開発するわけではありません。メーカーからチップセットのプロトタイプが出るタイミングで端末開発をスタートすれば、3G端末の一部をアップデートする形でスピーディに開発できます。
LTEインフラ事業をリードする
ITmedia 日本市場で競合他社(ほかの海外メーカー)と比べた場合、御社の優位性はどこにあるのでしょうか。
チン氏 最も大きな点は、R&D(研究開発部門)に注力していることです。売上の10%をR&Dに投資しており、特許の申請も2008年に世界トップになりました。91を超える標準化団体にも参加しているので、標準化についても影響力を持っています。
また、「ファーウェイは中国にある西洋の会社だ」とよく言われていますが、弊社は10数年前からIBMなど著名なコンサルティング会社と契約を結んでおり、マネジメントを欧米化しています。これにより、各担当者に頼るという従来の方法ではなく、R&Dから購買、生産までを一元管理し、中国の優秀な人材を低コストで集めることができます。
こうした事業展開は日本市場でも生きてきます。欧米化されたシステムのもと、お客様(通信事業者)のニーズに迅速に対応し、優れた品質の製品を多数提供できています。実際、高速データ端末やデジタルフォトフレームを(通信事業者に)採用いただいています。LTEインフラも開発中ですが、弊社が得意とするエンド・ツー・エンドのソリューションなので、採用いただけるという自信を持っています。
ITmedia 今後の日本市場でのロードマップを教えてください。
チン氏 LTEについては日本市場でどの程度の規模になるかが見えていないので明言はできません。ただ、トライアルの実施やLTEラボの設置など、日本でも十分に準備をしてきたので、少なくとも日本で展開している海外メーカーの中ではリードできる自信はあります。お客様(通信事業者)とも、LTEについては頻繁にコミュニケーションを取っています。
端末についてはデータ通信端末だけでなく、さらにバリエーションを増やしていきたいという意気込みもありますが、まずは日本市場に浸透することを第一の目標にしたいです。
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