通話は“無料”が常識に 無料通話サービスの普及の火付け役「LINE」の躍進:ITmediaスタッフが選ぶ、2012年の注目ケータイ&トピック(ライター今西編)
スマホの普及とともに、それらを取り巻くサービスがさまざまな広がりを見せた2012年。話題の無料通話アプリ「LINE」や写真専用SNS「Instagram」、そして今年の終盤話題を集めた「Kindle」などAmazonについても振り返る。
2012年10月、スマホが移動電話国内出荷台数の6割を超えた。つまり、それほどスマホが日本人にとって身近な存在になりつつあるということだ。さらに、スマホの普及に伴い、サービス面においても新たな潮流が生まれた。その中から2012年、印象に残ったサービスを紹介しよう。
「LINE」の普及に伴い無料通話サービス界の競争が激化
2011年6月にリリースされた無料通話アプリ「LINE」。ブームの火付け役となったのは、10代後半から20代の女性だった。一部の層でのブームで終わるのかと思いきや、いまや登録ユーザーが日本国内だけで3600万人を超えるほどの人気サービスへと成長。そのブームは日本だけに留まらず、230以上の国や地域で利用されるほどになった。
筆者は仕事柄もあり、リリース初期からLINEを使い始めたものの、友人は当然のこと、いまでは編集者との簡単な連絡に使うこともある。また、家族間での連絡もすべてLINEで取るという友人もいる。何がそんなにユーザーの心をつかむのかと考えると、無料で通話ができるのはもちろん、「スタンプ」を使ったメッセージ機能の“手軽さ”なのではないかと思う。LINEオリジナルのキャラクターがマンガやアニメとして成立するほどの人気を誇るうえに、「欲しい」と思える有料スタンプが豊富なのも、多くのユーザーに愛される理由だろう。
またSNSとは異なり、アドレス帳に登録している“リアルな友人”とつながれるというのも、SNS疲れを起こしやすい日本人に向いているのかもしれない。
そんな状況の中、2012年10月には無料通話アプリ「comm」が登場。さらに、韓国で圧倒的なシェアを誇る無料通話・メールアプリ「カカオトーク」が、ヤフーと業務提携して国内展開を本格化することを発表した。2013年、これらのサービスがどう進化するかで、スマホの普及スピードがさらなる加速をみせるかもしれない。
ようやく普及期を迎えた「Instagram」
写真の加工・投稿に特化した「Instagram」は、スマホで写真を撮ることの楽しさをより多くのユーザーに広めるのに貢献したサービスだといえる。サービス開始は2010年10月で、2012年になってようやくスマホ初心者の目にも留まるようなサービスになったと感じる。現在、世界で1億人以上のユーザーが利用している。
このアプリが優れているのは、スマホで撮った写真を誰でも簡単かつオシャレに加工できる点だ。また、加工した写真をほかのSNSに同時投稿できるのも魅力的。写真を投稿するだけなので、海外のユーザーとも「いいね!」を押すだけでコミュニケーションを図れるのも楽しい。
そんなInstagramだが、2012年4月、Facebookに10億ドルで買収されることが発表された。ただ、今後も個々にサービスは展開され、Facebookのスマホアプリには独自の写真加工機能を搭載している。
SNSといえば、12月10日、Twitterの公式アプリにも写真の加工機能が搭載された。“写真を撮って、SNSに投稿する”だけではなく、“写真を撮って、加工して、SNSに投稿する”ことが今後のSNSに求められる機能なのだろう。
デジタルコンテンツのクラウド化が加速
Amazonが10月25日にオープンした「Amazon Kindle Store」。電子書籍を購入できるストアで、紙の本に比べいくら安くかが分かる「%オフ」表示など、使い勝手も上々なサービスだ。
「Kindle Fire HD」や「Kindle Paperwhite」といったデバイスに注目が集まりがちだが、データを“クラウド上に保存する”というのは非常に優れたポイントだと感じている。iOS、Android OSともに専用アプリが配信されているので、同じアカウントを使えば、複数のデバイスから購入・閲覧できる。ちなみに筆者はiPad miniを購入したので、最近はKindleアプリで電子書籍を読む時間が増えた。
また、「Amazon MP3 Store」ではMP3音源を販売しているが、このデータは「Cloud Player」上に保存される。こちらもPC、iPhone・iPad、Androidなど複数のデバイスでデータを共有可能だ。
マルチデバイスといえば、動画配信サービスの「Hulu」も各種OSのスマホやPCに加え、テレビやレコーダー、ゲーム機などでも利用できる。このように、“デジタルデータをマルチデバイスで楽しめる”ことは、複数の通信デバイスを持つ現代人には欠かせない要素となりつつあるのかもしれない。
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