ドコモ、KDDI、ソフトバンクの決算会見を振り返る――今後の高速通信サービスは?:石野純也のMobile Eye(7月22日〜8月2日)(2/3 ページ)
7月27日にドコモ、30日にKDDIとソフトバンクが決算会見を開き、今後の戦略も語られた。今回は3社の決算会見を振り返るとともに、ここで明らかになった重要なトピックを取り上げていく。
KDDIは営業収益が初の1兆円超え、UQの2.5GHz帯割り当ても焦点に
減益だったドコモと対照的なのが、KDDIの決算だ。KDDIの営業収益は1兆24億円で、営業利益は1787億円。前年同期はそれぞれ8616億円、942億円で、大幅な増収増益となった。auスマートバリューの効果による純増が好調だったことや、スマートフォンの普及に伴いARPUが向上したことが主な要因だ。
夏モデルに合わせて導入された、サービスの利用動向も明らかになった。タイムライン形式にリニューアルした「auスマートパス」は、リアルでユーザーの行動を促す効果が表れた。代表取締役社長の田中孝司氏によると「タイムラインUIに、例えば、キーケースが90%オフというニュースがあると、告知した商品が即売り切れる。いわゆるO2Oの効果が出ている」という。また、「(タイムラインUIからの)会員の登録数も、リニューアル前に比べて5倍に増えている」。
有料で手厚いサポートを行う「auスマートサポート」は、「浸透率は4人に1人」(田中氏)となった。利用者の7割が40歳以上で、電話応対に満足しているユーザーも約9割。田中氏も「うまくスタートできた」と胸を張る。スマートフォンの普及が進み、auでは現在「第1四半期で39.7%まで普及している」状況だ。今後、スマートフォンに移行するユーザーは、いわゆるITリテラシーがそれほど高くないことが想定される。こうした状況に対し、auスマートサポートで先手を打てたというわけだ。
また、決算会見では傘下のUQコミュニケーションズが7月26日に電波監理審議会から適当と答申を受けた、2.5GHz帯(20MHz幅)を利用する「WiMAX 2+」の用途についても、田中社長自らが答えた。WiMAX 2+はTD-LTEと互換性を持たせた仕様になるため、端末の広がりも期待できる。田中氏によると、「UQ自身はいわゆるモバイルルーターでビジネスを広げている。KDDIとしても、WiMAX 2+は、今後スマートフォンとかで使っていきたい」と話し、次のように述べている。
「TDDとFDD、現実的には仕様を見ていただければ分かるが、まったく同じ。TDDとFDDという部分しか変わらない。実際にスマートフォンを作る上でのモデムも、両方をサポートしているので、(方式の違いは)特に意識するする必要はない。実際に両方をサポートするスマートフォンをいつ出すのかは、別途発表したい」
KDDIはiPhone、AndroidともにFDD方式のLTEでサービスを行っているが、田中氏の発言からは、TDD方式のWiMAX 2+とは端末で棲み分けるつもりがないこともうかがえる。
「WiMAX 2+をやっても急にはエリアが広くはならないので、ハンドオフ(ハンドオーバーの別名。FDDとTDDを両方同時に運用し、切り替えながら利用すること)する感じになる。(CSフォールバックは)ちょっと微妙なところ。技術的には全然大変じゃないが、そこは明確にしないといけない。お客さんから見たら速いと思うだけで、(TDD、FDDどちらの方式かは)関係ないんじゃないかな」
中国ではChina Mobile(中国移動)がTDD、FDD両方式のLTEに対応したスマートフォンを発売する予定で、Samsung電子はTDDとFDDのシームレスハンドオーバーが可能な「GALAXY S4」「GALAXY S4 Mini」を開発した。このように、日本でも両方式のLTEを利用可能なスマートフォンが登場するだろう。また、次期iPhoneがTD-LTEをサポートするのか、そしてKDDIが導入するものがTD-LTE版になるのかもといったトピックも関心の的になりそうだ。
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