“EDGEST”をシャープの記号に――「AQUOS ZETA SH-04F」「AQUOS PAD SH-06F」で目指したもの:開発陣に聞くシャープ夏モデル(ドコモ編)(3/3 ページ)
シャープはドコモ向けの2014年夏モデルに、スマートフォン2機種、タブレット1機種、フィーチャーフォン1機種の計4機種を提供している。フラッグシップモデルのAQUOS ZETAを中心に、ラインアップ全体と各機種のコンセプト、デザインについて開発陣に話を聞いた。
シャープのデザインを象徴する「EDGEST」
今夏のシャープ製端末のデザインについては、通信システム事業本部 デザインセンター 副参事の水野理史氏が説明。まず、大きなコンセプトとして「Premium Surface(プレミアムサーフェス)」というコンセプトがあるという。今までのシャープ端末よりワンランク上の上質感を狙ってのことだ。
「普通のスマートフォンは、リアカバーが成型品で、塗装していますが、あまり高級なものに見えません。ワンランク上の上質感を表現するため、なるべく塗装物を使わないデザインができないかと考えました。表面に素材の質感そのものを採用することによって上質になるという意味で、“プレミアムサーフェス”というキーワードを使っています」(水野氏)
もう1つの大きな要素が、EDGESTの複数端末への展開だ。各端末にEDGESTスタイルを採用することで「シャープのデザイン全体の記号を作っていく」(水野氏)という狙いがある。
「これまでのシャープは出る機種ごとに全然違うデザインをしていて、シャープはどんなデザインをしているメーカーなのか、ということが記憶に残らない。パッと見てシャープだと分からない。例えば車メーカーは、トヨタならトヨタ、BMWならBMWと一目見て分かります。そういうものを作ることによって、EDGESTのブランディングを確立させたいという狙いがあります」(水野氏)
そこで今回、ドコモ端末のAQUOS ZETAとAQUOS PADで採用されたデザインが、上下左右対称型で六角形の断面を持つ「ヘキサグリップシェイプ」だ。
「手に取って触れただけで、これがシャープの形なんだということがすぐ分かるような強い記号を持ち、なおかつ持ちやすい形状はどういうものかと考えて、行き着いたのがこの六角形の形状です」(水野氏)
背面の縁がカットされているので、ラウンド形状のような持ちやすさを感じ、机に置くと隙間ができるので持ち上げやすい。また、側面の角度が取っ掛かりとなるので、しっかりホールドできる理にかなった形状だ。
側面をぐるっと囲むメタリックなラインもこだわった部分だという。AQUOS ZETAの場合は一部がグリップセンサーになっていて「機能をデザインした」かたちになっている。
「前機種はどこにグリップセンサーがあるのか分からず、ユーザーさんに伝わりにくかったと思います。見たときに、何か機能的なものがあるんじゃないかと思ってもらえるようなデザインを目指しました」(水野氏)
実際に、AQUOS ZETAを手に取ると、自然と側面のライン部分に指を当てて持つかたちになり、グリップセンサーがしっかり反応する。機能をデザインするという狙いから、開発段階ではグリップセンサー以外の部分をアンテナにすることも考えていたが、「なかなか特性が取れないという課題があって見送った」(水野氏)そうだ。
なお、AQUOS ZETAの場合は、背面が側面の色ごとに処理が異なっている。Whiteはシボ、Blackは光沢、Orangeはその色を際立たせるために黒くしている。
「Orangeで象徴されますが、あえて裏には色を付けず、シンメトリーという形状を強調しました。それによってヘキサグリップシェイプや狭額縁も強調されています」(水野氏)
持ちやすく長く使えるフィーチャーフォン
Android端末以外に、今夏のシャープはドコモ向けのフィーチャーフォン「SH-07F」も提供する。企画を担当した通信システム事業本部 グローバル商品企画センター 第一商品企画部 林里奈氏は「持ちやすく、年配から小学生まで、持っていても恥ずかしくない端末です」と魅力をアピールする。
「一番の特徴は、3.3型液晶でありながら幅が約49ミリの持ちやすいサイズです。また、表面にアルミパネルを採用したスタイリッシュなデザインもこだわりました」
販売店によると、フィーチャーフォンは年配だけでなく、小学生くらいの子どもにも購入されているという。「色は小学生にアンケートをして決めました。持っていても恥ずかしくないものだと思っています」(林氏)
操作性のポイントとなるキーは、文字が大きく色がはっきりした「くっきり操作キー」を採用。凸加減も指にフィットするように調整され、見やすく押しやすいキーになっている。また、ワンセグ、おサイフケータイ、防水防塵など、十分な機能を搭載した。
デザインは背面のアルミパネルがポイントだ。
「プレミアムサーフェスというコンセプトに沿って上質感を実現しました。一般的に金属感を出すためには蒸着塗装を使いますが、すぐはげるんですね。フィーチャーフォンを使ってくださる方は最低2年、5年以上使うユーザーも非常に多い。塗装がはげて質感が損なわれないアルミパネルを採用した理由はそこにあります」(水野氏)
すっかり塗装がはげて、もとが何色か分からないような端末を使っているフィーチャーフォンユーザーは多い。十分な機能を搭載し、長く美しく使えるSH-07Fは貴重なフィーチャーフォン買い替え候補になりそうだ。
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