SIMフリー端末を投入するHuaweiの狙い/“規制緩和”進むiOS 8/ドコモ版iPadへの期待:石野純也のMobile Eye(5月26日〜6月6日)(2/3 ページ)
今回はファーウェイ・ジャパンのSIMロックフリー端末投入、AppleのWWDCで発表された「iOS 8」、ドコモからの発売が決まったiPadを取り上げ、ユーザーや業界に与える影響を考察していきたい。
大幅な“規制緩和”でより自由になった「iOS 8」
6月2日に、Appleは開発者向け会議「WWDC」を開催した。キーノートにはCEOのティム・クック氏らが登壇。この秋に登場する「iOS 8」の主な機能や、開発者向けの施策を発表した。例年であればiPhoneやiPad、Macなど、何らかのハードウェアもお披露目されていたが、今年のWWDCのキーノートでは、これらは一切登場しなかった。
プロダクトマーケティング担当のフィル・シラー氏も、キーノートに登壇しなかった。ウワサされていた「iWatch」などもなかったが、もともとWWDCは開発者がiOSやMac OS向けのアプリ開発を学ぶ場ということを考えると、これはむしろ自然なこと(もちろん、アプリに大きな影響を与えるハードウェアであれば、必ずしもその限りではないが)。ある意味で、原点回帰のWWDCといえるのかもしれない。
ハードウェアの発表がなかった半面、iOS 8はiOS 7から大きな進化を遂げている。フラットデザインにデザインを刷新したiOS 6からiOS 7への進化よりも、大きなステップアップに感じられた。こうしたiOS 8の新たなテーマを一言で表すとすれば、それは「規制緩和」だ。
特に日本のユーザーにとって影響の大きな変更点は、サードパーティ製のIME解禁だろう。iOS自体のキーボードが英文の予測変換に対応することに加え、新たにキーボードをアプリとして変更できるようになる。Androidではおなじみではあるが、文字入力に対する不満が高かったiOSではユーザーに待望されていた機能。日本のアプリ開発者も、早速検討を開始している。
同様に、サードパーティに対して、ウィジェットも解放する。Androidとは異なり、ホーム画面に貼り付ける形ではなく、通知に組み込まれたもので、従来はApple純正アプリのみがここを使用できた。ここが解放されることで、アプリメーカーにとってはチャンスが広がる。ユーザーにとっても、カスタマイズの幅が広がることになりそうだ。
アプリ同士の連携で、使い勝手が向上することも期待できる。Androidには「インテント」と呼ばれる仕組みがあり、アプリ同士が連携できた。例えば、ブラウザで検索をし、特定のURLをタップしたとき、それに対応したアプリをインストールしていると、ブラウザでそのまま開くか、情報をアプリに引き継ぐかを選択できる。ブラウザでTwitterの情報をタップして続きをTwitterクライアントで見たり、Twitterで見つけた2chの情報を2chビュワーで見たりといったことが、簡単にできた。これに近い機能が、iOS 8に実装される。
WWDCのデモではブラウザから「bing翻訳」を呼び出し、サイトの言語を丸ごと変えるデモや、写真加工を別のアプリで行うデモが行われていたが、これを見る限りインテントに近いことがiOSでもできるようになると考えてよさそうだ。1つ1つのアプリに情報が閉じていたこれまでのiOSと比べ、格段に自由度と操作性が高くなる。
こうしたAPIの追加があった上で、Appleは開発者用の言語を「Objective-C」から「Swift」へと変更する。ユーザーにとって直接的なインパクトはないかもしれないが、アプリ開発のハードルが下がることで、現在900万開発者がさらに増えることは期待できる。結果として、アプリの数の増加にもつながりそうだ。
このほか、Touch IDの開放やiCloudの強化、家電連携のプラットフォーム「HomeKit」、健康管理のプラットフォーム「HealthKit」の導入など、iOS 8での進化は多岐に渡る。そのいずれもが、単なる機能拡張ではなく、サードパーティの参加を促進するものであることが、iOS 8の大きな特徴だ。Androidに対して数では劣勢に立たされているが、アプリの充実度や完成度といった点はiOSの強みになっている。ここを拡張して、エコシステムをさらに強固にするのはアップルにとって自然な戦略ともいえるだろう。
関連記事
- IIJやU-NEXTも取扱開始:Huawei、SIMロックフリー端末を日本に投入 第1弾「Ascend G6」は6月下旬以降に発売
ファーウェイ・ジャパンが、海外で発売されているSIMロックフリーのスマートフォンやタブレット、ウェアラブル端末を日本に導入する。第1弾として、スリムなLTEスマートフォン「Ascend G6」をMVNOに供給する。 - Mobile World Congress 2014:Huawei、“iPad miniとNexus 7を超える”という「MediaPad X1」を発表
Huaweiは、2月23日(現地時間)にスペインのバルセロナで、タブレット「MediaPad X1」にリストバンドタイプのヘッドセット「TalkBand B1」などを発表した。 - ワイヤレスジャパン 2014:格安SIMの市場拡大に向けて“選べるワンストップ”を目指す――IIJ島上氏
MVNOの老舗としてサービスを提供しているIIJ。格安SIMの市場は年々規模を拡大しつつあるが、IIJは今後どのようなビジネスを展開していくのか。常務執行役員 ネットワーク本部長の島上純一氏が語った。 - WWDC 2014:Appleが「iOS 8」を発表――iOS 7からココが変わった
AppleがWWDC 2014でiOSデバイス向けの新しいOS「iOS 8」を発表。2014年秋にリリースする。ここではiOS 7から進化した主なポイントをチェックしていきたい。 - WWDC 2014:「OS X Yosemite」と「iOS 8」を正式発表
Appleが現地時間の6月2日、米国で開発者向けイベント「WWDC 2014」を開催し、基調講演でMac向けの「OS X Yosemite」とiPhoneやiPad向けの「iOS 8」という最新バージョンのOSを披露した。 - 予約は6月2日から:ドコモ、「iPad Air」と「iPad mini Retinaディスプレイモデル」を6月10日に発売
Appleのタブレット「iPad Air」と「iPad mini Retinaディスプレイモデル」がドコモからも登場する。発売日は6月10日の予定。 - スマホとセットで使う場合:ドコモのiPadは買いか?――3キャリアのiPadの端末価格と利用料金を比較する
ドコモからiPad AirとiPad mini Retinaディスプレイモデルが発売されることになり、これで3キャリアでiPadが出そろった形になる。ドコモのiPadはauやソフトバンク版と比べて安いのか? スマホとセットで使う場合を想定した料金プランを比較した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.