ソフトバンクがヤマダ電機に227億円で業務資本提携を締結 ━━ヤマダとは「撤退か、協調か」で悩むNTTドコモとKDDI:石川温のスマホ業界新聞
5月7日に、ソフトバンクがヤマダ電機と資本業務提携を締結することを発表した。もともと深い関係にあるように見える両者の関係がさらに深まる見通しだが、それに戦々恐々としているのは、ヤマダ電機で携帯電話を販売するNTTドコモやKDDIといった競合他社だ。
5月7日、ソフトバンクとヤマダ電機は資本業務提携を締結すると発表した。ヤマダ電機は4832万株の自己株式をソフトバンクに1株471円で割り当てる。総額は227億6079万円となり、割り当て後のソフトバンクの持ち株は6.02%となる。
これまでも、売り場ではソフトバンクとヤマダ電機の関係はかなり深いように見えたが、この資本業務提携によりさらに強化される見込みだ。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年5月9日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
スマホやアクセサリーの販売だけでなく、ソフトバンクにはペッパーと言ったロボットや、売電などの事業があり、ヤマダ電機の店頭で扱われる可能性が高くなった。ヤマダ電機はスマートハウス事業も手がけており、このあたりのシナジーは期待されるだろう。
ソフトバンクは、アメリカのSprint事業においては、家電取り扱いチェーン店の「Radio Shack」の店舗を傘下に収め、Sprint商品の売り場を強化すると言った施策を展開している。ソフトバンクはもともとパソコンのソフトを扱う事業からスタートしたこともあり、店頭を強化するというのはソフトバンクの原点でもあると言えそうだ。
今回のソフトバンクとヤマダ電機の資本業務提携に対して、戦々恐々としているのが、他のキャリアだ。
当然、ヤマダ電機のスマホ売り場において、いままで以上にソフトバンクとY!Mobileが強化されることになれば、NTTドコモやKDDIにとっては死活問題だ。
何も知らないNTTドコモやauのユーザーが機種変更しようとヤマダ電機を訪れたら、熱心な勧誘で、ソフトバンクやY!MobileにMNPされていくような「蟻地獄」の状態になりかねないのだ。
NTTドコモやKDDIにとってみれば、「ヤマダ電機からの撤退」も検討したくなるかも知れないが、他キャリア関係者は「ヤマダ電機の地方で影響力を考えると、撤退は考えにくい。しかし、何らかの対策は必要になってくるのではないか」と語る。
しかし、営業施策などをヤマダ電機に伝えれば、その情報がそのままソフトバンク側に流れることも恐れなくてはいけない。
ヤマダ電機としてもNTTドコモやKDDIに対して後ろめたさがあったようで、「ソフトバンクとの資本業務提携の発表を受けて、ヤマダ電機の幹部がうちに謝りにきたようだ」と他キャリア関係者は内情を明かした。
ヤマダ電機としては、NTTドコモやKDDIとの関係が悪化してまでも、ソフトバンクに助けを求めたのだろう。一方で、ソフトバンクとしては、最も効率的に契約者を稼げる販売の最前線を手に入れたことは大きなメリットにつながるはずだ。
ソフトバンクモバイルの新社長である宮内謙氏はもともと、営業担当であることから、今後もこうした販売に直結する出資案件が加速するかも知れない。
いずれにしても、今後、ヤマダ電機の売り場は何かしらの変化が見えてきそうなだけに、注意深く見守っておくと面白いだろう。
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