続々と登場する「Windows 10 Mobile」搭載スマホ――普及への期待と課題:石野純也のMobile Eye(10月13日〜23日)(2/2 ページ)
VAIO、Acer、トリニティ、サードウェーブなどのメーカーが、Windows 10 Mobile搭載スマートフォンの投入を発表。日本でにわかにWindows Phoneの動きが活発になってきた。今回は、Windows 10 Mobileの今後の展望と課題をまとめていきたい。
大手キャリアの採用は? Lumiaは? メーカーの拡大も課題
メーカーが順調に出そろってきたWindows 10 Mobileだが、これで一気に普及するかといえば、まだ課題は残されている。メーカーの顔ぶれを見てみれば分かるが、いわゆる「携帯電話メーカー」はパートナーに名を連ねていない。マウスコンピューターやVAIO、サードウェーブデジノスのように、PCメーカーとして実績を積んできた会社はいるものの、携帯電話やスマートフォンという観点では、新規参入組が中心となっている印象だ。結果がどう受け止められるのかは、未知数な部分が大きい。
Microsoftと提携し、法人市場にWindows 10 Mobile搭載スマートフォンの導入を目指すダイワボウ情報システムでは、3年間で200万台の導入という目標を掲げていた。この数字だけを見ても判断が難しいところだが、携帯電話全体では、年間3820万台(2014年実績、MM総研調べ)が出荷されていることを考えると、微々たる数字ともいえる。ダイワボウ情報システム以外の分を入れても、年間で数十万台といったところからのスタートになる。既存の市場を分け合っているiOSやAndroidと肩を並べるには、まだまだ長い時間がかかりそうだ。
Windows 10 Mobileをさらに普及させていくには、大手キャリアの力も必要になってくる。SIMロックフリー端末の市場は拡大しているものの、まだ全体の10%にも満たない規模だ。Windows 10 Mobileを本格的に広げようと思ったとき、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社で取り扱われることは必須条件だといえる。
ただ、現時点では、3社とも様子見をしており、具体的な計画は発表されていない。Microsoftの「Surface 3」を取り扱うソフトバンクだけは、社長兼CEOの宮内謙氏が「通信をいろいろな趣味嗜好の方々に提供する責務があるため、バラエティは出していきたい」とやや前向きなコメントを出しているが、同時に「検討段階でお話できる段階にはない」と述べているように、すぐに何かを出すということはなさそうだ。
将来的には、Microsoft自身が、Lumiaを投入する必要性が出てくるかもしれない。誤解を招くといけないので改めて述べておくと、現時点では「その計画はない」(平野氏)。日本マイクロソフトとしては、「当面、サードパーティ(メーカー)に注力する」(同)方針で、海外で発表された「Lumia 950」や「Lumia 950XL」などを日本で投入する計画はないという(→Microsoft、Windows 10 Mobile搭載の「Lumia 950」「Lumia 950 XL」発表)。
一方で、同社は新たな市場を開拓するという戦略に基づき、PCではSurfaceシリーズを発売。メーカー製のPCと住み分ける形を採りながら、Windowsタブレットの市場を切り開いてきた。すでに大きな市場のあるPCと、市場がこれから作られるスマートフォンを同列に比較することはできないが、逆に、まったく新規の市場であるからこそ、マイクロソフト自身が“お手本”を投入する価値はあるようにも思えてくる。
キャリアにとっても、Microsoftが自ら送り出すLumiaは、端末の差別化が難しくなってきた中での、目玉になるかもしれない。とはいえ、Windows 10 Mobileの第一歩は、ようやく踏み出されようとしているところだ。その先の戦略は、これから出てくる端末の成否にも左右される。まずは、開発意向を表明した6社がどのような端末を出してくるのかを、期待して見守りたい。
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