iPhone効果で2Qも好調の「IIJmio」――「携帯料金見直し」議論の影響は?:IIJ決算会見
9月に発売されたiPhone 6s/6s Plus効果もあり、IIJmioが引き続き好調を維持しているIIJ。総務省が進めている携帯料金に関するタスクフォースは、現時点では追い風ととらえている。
IIJ(インターネットイニシアティブ)が11月9日、2015年度第2四半期の決算会見を開催。売上高は653億3000万円で前期比14.3%増、営業利益は25億6000万円で前期比6.1%増で、増収増益となった。
モバイル事業として展開しているMVNOサービスが好調を維持しており、9月末時点の総回線数は93万4000に達した。勝栄二郎社長は、「目標としていた(2015)年内の100万回線が視野に入っている」と手応えを話す。個人向けの「IIJmio(IIJmio 高速モバイル/Dサービス)」の回線数は60万5000で、第1四半期から7万8000の純増となった。
9月に「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」のSIMロックフリー版が発売された影響で、IIJmioの契約数は7〜8月に比べて「加速度的に伸びている」(勝氏)という。また、7月からはイオン店舗で即日MNPにも対応したほか、9月にはユーザーが任意のタイミングでMNPできる「おうちでナンバーポータビリティ」を開始しており、MNPの利便性を向上させた。
IIJがMVNEとなって他のMVNOを支援するケースと、企業に直接提供する「IIJモバイル」を含む法人向けサービスは、9月末時点で27万5000回線となり、こちらも好調だ。MVNEとしての支援先は80社あり、うちケーブルテレビ事業者が61社と引き合いが強い。また勝氏は「これから引き合いが多いのがM2M、そういう企業の投資が期待される」と付け加えた。
IIJのモバイルサービスが好調を維持している要因として、「インフラに対する満足度が高いこと」を挙げる。ただし正午を中心として、時間帯によっては通信速度が遅くなる傾向は依然としてあるが、勝氏は「継続的に相当な投資をやっている。不満も少しずつなくなってきている。その結果として満足度ナンバー1という高い評価をいただいていると思っている」と自己評価した。
その投資にはどれほどのコストをかけているのだろうか。常務取締役 CFO 渡井昭久氏によると、モバイルサービスの原価は「50億円を超えるくらいの水準」で、ここには相互接続のインフラ、SIMの調達、端末の仕入れなど、モバイルに関するすべてのコストが含まれる。
総務省のタスクフォースはIIJにとっては追い風?
2015年内に結論を出すことを目指し、総務省がタスクフォースで「携帯料金見直し」の議論をしている最中ということもあり、このトピックについての質問が目立った。タスクフォースでは「MVNOのさらなる普及」が議題の1つになっている。勝氏は「安倍首相(の発言)がきっかけとなり、格安スマートフォンに対する国民の理解は進んできている。キャリアとの競争条件の公平化、事業者に目を向ける大きなきっかけになってくると思う」と話しており、IIJとしても、この流れは追い風ととらえているようだ。
一方、タスクフォースではライトユーザーの負担が高く、小容量のプランが少ないことが問題点の1つに挙がっており、月1Gバイト程度のプランが大手キャリアから登場する可能性もある。そうなるとMVNOのサービスと競合してしまい、格安SIMの優位性が薄れてしまう恐れがあるが、勝氏は「(大手キャリアが)すぐにMVNOのように(安く)できるかは難しい。よく見守っていかないといけない」とした。
総務省の施策についての要望を問われると、勝氏は「キャリアとMVNOの競争条件は公平にしてほしい。例えば接続料(の算出方法)を透明化するといったもの。あとは(過度な)端末の割引など(をなくすこと)」と答えた。
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