“接続料誤算”の影響で14年度は減益、好調「IIJmio」の契約数は43万に:IIJ決算会見
IIJが2015年3月期の連結業績を説明。ドコモの接続料の低減率が想定を下回った影響でネットワーク原価が増し、14年度の営業利益は前期比で11.3%減となった。MVNO事業は好調を維持しており、「IIJmio」の契約数は計43万に達した。
インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が5月15日、2015年3月期連結業績説明会を開催した。2014年度の売上高は1230億5000万円で前期比7.7%増だったが、営業利益は前期比11.3%減の50億8000万円で、増収減益となった。
営業利益が13年度を下回ったのは、NTTドコモがMVNOに課しているネットワーク接続料の低減率が想定を下回ったことが大きい。IIJが想定していた14年度の低減率は(13年度比)56%だったが、実際は23.5%だった。これにより、ネットワークサービスの原価が当初よりも約12.6億円大きくなり、業績の下方修正を余儀なくされた。このほか、人件費や本社移転に伴う費用も13年度から増加した。
MVNOサービスは、引き続き好調を維持している。個人向けの「IIJmio高速モバイル/D」が14年度第3四半期から9万1000の純増で計43万契約に達し、14年度の1年間では約26万の純増を果たした。代表取締役社長の勝栄二郎氏は「10月以降で平均月に3万、契約数が伸びている」と手応えを話す。
第3四半期はiPhone 6/6 Plus効果もあって9万4000の純増だったが、第4四半期もそれとほぼ同じペースで伸びた。第4四半期はiPhone 6/6 PlusのSIMロックフリー版が一時販売停止になるなど不利な状況もあったが、4月1日に実施したデータ通信の増量や、MVNOとしては初の「ファミリー通話割引」を提供したことが追い風になったようだ。
このほか、好調の要因について勝氏は「格安SIMが世間に浸透してきた。競争は激しいが、宣伝にも力を入れており、相乗効果で売れてきていると思う。『IIJのSIMは品質が高い』という認識も強まっている」と話す。ただし直近では、時間帯によってはIIJmioの通信速度が遅い傾向にあるのも事実で、IIJは5月下旬に大規模な設備増強を行う見通し。「速度が落ちているという話もあったが、設備投資は定期的に行っている」(勝氏)
法人の回線数は、14年度第3四半期の10万1000から10万6000に増加。勝氏は「MVNE、パナソニック、ケーブルテレビ連盟など、現在、(法人では)39契約のうち、9社がサービスを開始している。これからどんどん増えていくと思っている」と手応えを話す。
総務省が発表した統計によると、IIJのようにSIMカードを提供しているMVNOの契約数は2014年12月末時点で195万で、携帯電話全体の契約数(1.6億)に占める割合はわずか1.3%に過ぎない。こうした数字を受けて、常務取締役CFOの渡井昭久氏は「まだ格安SIMの伸びる余地は大いにある。継続して伸ばしていける」と期待を寄せた。
IIJは2015年度の接続料低減率は「15%」を見込んでおり、14年度よりもさらに下げ幅を少なくしている一方で、MVNO事業の売上は130億円(前期比53億円増)を目標とする。クラウド関連サービスや法人向けネットワークサービス、国際事業でも増収を図り、15年度の売上は1390億円(前期比13%増)、営業利益は65億円(前期比28.1%増)を目指す。
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