2016年はWindows 10 Mobileとポイントサービスの動向に注目!:ITmediaスタッフが選ぶ、2015年の“注目端末&トピック”(ライター太田編)
MVNOとSIMロックフリースマホが大きな注目を集めた2015年。多くのメーカーが市場に参入し、機種ごとの差別化が難しくなる中でも印象に残った製品とサービスを2016年も引き続き注目したい。
2014年から引き続き、MVNOとSIMロックフリー市場が大いに盛り上がった1年。「格安スマホ」「格安SIM」といった言葉も浸透し、量販店にも当たり前のように専用コーナーが設けられるなど、すっかり市民権を得た印象だ。グローバルメーカーも相次いで日本のSIMロックフリー市場への参入の発表し、選べる端末も一気に増えた。ただ、価格が手頃でスペックもそこそこのミドルレンジモデルが充実する一方で、機種ごとの差別化は難しくなり、一目見てそれと分かるような特徴のある端末はますます少なくなったように思う。そんな中でも特に印象に残った端末と、2016年に向けて注目したいトピックスを取り上げたい。
「Apple Watch」が発売……でも何も変わらなかった?
2015年4月には「Apple Watch」が発売され、筆者自身はもちろん、周りのガジェット好きな友人達は皆こぞって買い求めた。
このままスマートウォッチが一気に盛り上がるかと期待したが、残念ながら2015年末現在、まだそうなってはいない。スマートフォンをカバンに入れたまま、手元でいろんな情報が確認できるのは確かに便利なのだが、今のスマートウォッチはあくまでもスマートフォンのアクセサリーの1つ。スマートウォッチでできることの多くはスマートフォンでもできるわけで、両方を共に携帯したいと考えるユーザーは少数派だろう。
とはいえ、Apple Watch向けのアプリは増えているし、他社からも丸型などデザインにこだわった新しいスマートウォッチが続々登場している。タグ・ホイヤーの「Connected」のように、2016年以降は老舗の時計メーカーからも新製品が発売されるはずで、そうなれば「ファッションアイテムの1つとして、スマートウォッチを選ぶ」という人達も出てきそうだ。
一方で筆者が期待しているのは、サムスン電子の「Gear S2」(海外発売モデル)や 韓国LGエレクトロニクスの「LG Watch Urbane 2nd Edition」のような、スマートウォッチ単体でインターネット接続が可能なモデル。バッテリー持ちの問題など課題は多いものの、もしスマートフォンに置き換えることが可能になれば、そこからいろんな可能性も広がる。スマートフォンの先にある、次なるデバイスは何か。スマートウォッチがその解になるかどうかはまだ分からないが、2016年以降も注目していきたい分野ではある。
久々にワクワクした、「Galaxy S6 edge」と「TORQUE G02」
キャリアから発売されたスマートフォンで特に印象に残ったのは、サムスン製「Galaxy S6 edge」と京セラ製「TORQUE G02」の2機種だった。
- →Samsung、デュアルカーブディスプレイの「Galaxy S6 edge」発表――通常ディスプレイの「Galaxy S6」も
- →作戦エリアがさらに拡大! 世界初の“耐海水”スマホ「TORQUE G02」
曲面ディスプレイを採用した「Galaxy S6 edge」は、スペインで開催されたMobile World Congress 2015の発表会場で初めて目にしたとき、その形状の美しさに本当に感動した。スマートフォンが機能的に成熟し、デザイン的にも差別化が難しくなっている中で「まだこんな工夫の余地があったのか」と驚かせてくれた製品。日本ではGalaxyシリーズとしては初めて、ドコモ、auに加えてソフトバンクの3キャリアから同時発売されたことも話題になった。今やサムスンは日本のSIMロックフリー市場に正式参入していない、数少ないスマホメーカーとなっているが、その意味でも2016年以降の動向が気になるところだ。
一方の「TORQUE G02」は、世界初の耐海水をうたったモデル。「G'zOne」から脈々と続くタフネスモデルファンの受け皿となっているTORQUEシリーズだが、ついに水中写真まで撮れるようになった。使用可能な水深は1.5メートルまでなので、筆者の趣味であるダイビングでは使えないが、シュノーケルなら十分に実用レベル。ダイバー仲間には「スマホの耐水性が不安」だったり、「ぬれた手だとタッチ操作がしにくい」という理由で、まだガラケーを使っている友人が多いのだが、やっと彼らに勧めたいスマホが出てきた。「Galaxy S5 ACTIVE」や「arrows NX F-02H」など、最近はMILスペック対応モデルも増えているので、TORQUEシリーズにはぜひ、タフネス+αのアウトドア機能をさらに強化して、独自路線を突き進んでもらいたい。
なお端末ではこのほか、「Windows Phone」が数年ぶりに日本で発売されたことも、2015年の外せないトピックスの1つ。1月以降トリニティから発売予定の「NuAns NEO」も含めて、マウスコンピュータの「MADOSMA」、フリーテルの「KATANA」など、「Windows 10 Mobile」対応のスマートフォンが一気に登場した。「Windows 10 Mobile」というOS自体がまだ発展途上であり、スマートフォンをPCとして使える「Continuum」機能についても未確定なことが多いが、長らくiOS、Androidの2大OSに独占されていたスマホ市場に変革をもたらす、台風の目となってくれることを期待したい。
キャリアを問わず使える、ドコモ「dポイント」がスタート
MVNO活況の一方で、大手キャリアではさまざまな新しいサービスもスタートした。先日契約数100万件突破が発表された「ドコモ光」も、2015年の3月にスタートしたサービス。また定額の音楽・映像配信サービスの盛り上がりと前後して、ドコモは「dビデオ」を「dTV」に、auはテレビ朝日と、ソフトバンクは「Netflix」と提携するなど、映像配信サービスも強化されている。新サービスの中でも特に今後の動向に注目したいのが、12月にスタートしたばかりの「dポイント」だ。
「dポイント」はドコモが発行する共通ポイントで、従来通り月々の携帯電話代の支払いでポイントがたまるのに加え、「Tポイント」や「Ponta」のように、店舗などの提携先でもポイントをためたり、使ったりすることができる。さらにこれまでの「ドコモポイント」とは違い、ドコモ以外のユーザーでも利用可能だ。
たまったポイントを端末購入以外にも広く使えるようにするというのは、「au WALLET ポイント」を「au WALLET」にチャージして使えるauや、「Tポイント」に資本参加してポイントサービスを共通化したソフトバンクでも、既にやっていること。だが「dポイント」はドコモ自らが手掛ける共通ポイントであり、ドコモの巨大な加入者数+新たに取り込むドコモ以外のユーザーという強力な武器もある。今後の提携先次第では既存の共通ポイントにも負けない、便利なポイントサービスに成長するかもしれない。「dポイントがためやすいから、ドコモを使う」というように、新たなユーザー囲い込みの一助となる可能性も十分にあるだろう
MVNOでも、楽天モバイルやトーンモバイルのように、既存のポイントサービスをユーザーの獲得にうまく生かしているところがある。総務省の要請でライトユーザー向けの料金値下げや、販売奨励金の適正化を進めることになった大手キャリアにとっても、料金施策やキャンペーン施策を考える上で、ポイントはより重要な役割を担うものになっていくはずだ。各社のポイントサービスが今後どのように進化していくのか、引き続き注目していきたい。
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