進むiOSからのフィードバック――Siriで感じた「macOS Sierra」への期待:神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)
WWDC 2016において、Mac用OSの最新版「macOS Sierra」が発表された。macOS Sierraはどのような進化を遂げようとしているのか。プレビュー版を使う機会を得たので、検証していきたい。
高度化されたメッセージ
WWDCで発表された新機能のうち、macOS SierraとiOSの両方でフィーチャーされたのが「メッセージ」の機能向上と高度化だ。新しいメッセージは表現力が増しており、絵文字の拡大や相手の発言にリアクションするTap Back機能などが実装された。
今回、筆者と同じくmacOS Sierraをレビュー中の林信行氏に協力してもらって新しいメッセージを試したが、Tap Backは最初は操作に戸惑うものの、慣れてくると、いちいちメッセージを入力しなくても相手の発言に反応できるので楽だし楽しい。これまでPCでのメッセージサービスというと、LINEやFacebookが一般的だし使い勝手もよかったが、日本におけるiPhoneユーザーやMacユーザー同士でやりとりするのであれば、macOS Sierraで搭載される新しいメッセージサービスを使ってみるのも悪くないかもしれない。
真の期待は「iPhone/iPad連携機能」
冒頭で述べた通り、今回のmacOS Sierraはデベロッパープレビュー版であり、試せたのはSiriを中心としたmacOS単体の機能ばかりだった。誤解を恐れずにいえば、今回のmacOS Sierraの体験は、筆者にとって不満の残るものだった。それは肝心のiOSやiCloud連携の部分が試せなかったからだ。本来であれば、macOSはiOSとシームレスな連携をしてこそ真価が発揮されるものであり、“スマートさ”が際立つものだ。Macが昔ながらの使い勝手のよいUIデザインを踏襲しながらも、最先端でモダンなユーザー体験を実現できているのは、ひとえにiPhone/iPad連携あってこそなのだ。
しかしその一方で、現時点でのSiriの実装レベルや使い勝手のよさを見るに、macOSの“iOSからのフィードバック”は順調に洗練された形で進んでいることも確認できた。macOS Sierraの製品版が登場するのは2016年秋だが、その時には、iOSやwatchOSと高度に調和し、“PCの未来”をしっかりと指し示すものになるのは間違いないだろう。製品版の登場に強く期待したいところだ。
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