SIMロック解除の条件緩和、端末の実質価格に新基準――改正ガイドラインの影響は?:石野純也のMobile Eye(11月7日〜11月18日)(2/3 ページ)
11月18日、総務省がSIMロック解除とスマートフォン端末購入補助についての改正ガイドラインを公開し、意見を募集する。SIMロック解除は条件が緩和され、端末の実質価格には新たな基準が設けられる見通し。業界に与える影響を考えた。
SIMロック解除の条件は大幅に緩和される見通し
フォローアップ会合では、ユーザーのスイッチングコストを上げることにつながる「SIMロック」もやり玉に挙がった。SIMロックの解除は、2015年5月以降に発売された端末から、原則として義務化されている。一方で、端末の不正取得を防止する観点から、解除に応じない一定の期間を設けることも認められていた。論点になったのが、SIMロック解除が可能になるまでの期間だ。
現状の仕組みをあらためて整理しておくと、ドコモが6カ月、auとソフトバンクが180日のSIMロック解除猶予期間を設けている。ドコモのみ、過去にSIMロックを解除している端末があり、そこから6カ月経過している場合、新たに購入した端末でも即時SIMロックを解除できるが、他の2社には例外がなく180日間は待たなければならない。また、ドコモやソフトバンクでは中古で購入した端末を持ち込んでSIMロックを解除することができないなど、回線の契約とひもづける形で、一定の制約も設けられている。
フォローアップ会合では、この期間の短縮が主な焦点になった。端末の不正取得防止が目的であれば、確かに一律で6カ月もしくは180日の期間を設けるのは、適当とはいえないだろう。ヒアリングに参加したIIJの取締役 島上純一氏は、「SIMロック解除の重要性はますます増している」としたうえで、「SIMロックではない形の不正防止も重要になってくるのではないか」と語っている。
これに対し、ソフトバンクはSIMロック解除が可能になるまでの期間を、120日程度に短縮する案を表明していた。一括で代金を支払い済みの場合、即座にSIMロックを解除してもいいのではないかといった構成員の意見もあり、改正ガイドライン案は、これらのアイデアが反映された形になった。
改正ガイドライン案に明記されたのが、SIMロック解除の猶予期間を短縮すべきということだ。具体的には「100日程度」にする方針が記載されており、現状の180日から80日ほど短期化される見込みとなった。また、改正ガイドライン案では、一括で代金を支払った場合は、即時SIMロックの解除を可能にするよう、対応が求められている。100日程度への期間短縮は2017年8月1日から、一括購入時の即時SIMロック解除は2017年12月1日から適用される見込みだ。
フォローアップ会合では、MVNOに対するSIMロックも問題視されていたが、これも改正ガイドライン案で規制されることになりそうだ。現状では、ドコモの端末をドコモ系MVNOで使う場合、端末のSIMロックを解除する必要はない。SIMカードでは、ドコモかMVNOかを区別できず、MVNOのSIMカードを挿しても、端末側は「ドコモのSIMカードが挿してある」と認識するためだ。これに対し、KDDIは、MVNOに専用のSIMカードを発行しており、VoLTEに対応した端末の場合、SIMロックを解除しなければ、MVNOで利用することができない。
改正ガイドライン案はこの状況にもメスを入れ、MVNOに対するSIMロックも禁止している。事実上、これはauやソフトバンクへの規制と考えてよさそうだ。ガイドラインの対象になるのは、2017年8月1日以降に発売される端末。並行してSIMロック解除不可期間の短縮化も行われているため、大きな変化ではないのかもしれないが、auユーザーがau系MVNOに移りやすくなることは確かだ。ユーザーにとってはメリットになる一方、auからau系MVNOへの流出が加速する可能性もある。
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