総務省が募集する「変な人」ってどんな人? 「異能vation」(いのうべーション)担当者に聞く(1/3 ページ)
「総務省が変人を募集している」――5月末、ネットでこんな話題が広がった。革新的なIT技術への挑戦者を支援する総務省のプロジェクトの通称「変な人」が、広く報じられたのがきっかけだ。
先ごろ決まった同プロジェクトの正式名称は「異能vation」(いのうべーしょん)。「『異能vation』(通称:変な人)」という、正式名称も通称も珍妙だが、狙いは至って真面目な国家プロジェクトが船出した。
「極めてまじめに作っていた」
「変な人」は、総務省の研究開発支援「若手ICT研究者等育成プログラム」(SCOPE)に新たに設置した枠だ。「奇想天外でアンビシャスな技術課題」に挑戦する独創的な人を募り、1年間で最大300万円の研究費を支給する。
「極めてまじめに作っていたので、『変な人』という名称が話題になるとは想定しなかった」――同省の高村信氏(情報通信国際戦略局技術政策課統括補佐)は言う。「プロジェクトの存在を“変な人”にどう届けるかばかり気にしていた。まさか、ネットでこれほど話題になり、その悩みが一瞬で解決するとは……」
「変な人」という名称のインパクトは大きく、総務省には問い合わせが殺到。ここ1カ月で受けた問い合わせ電話の数は約400件。募集スタート前にも関わらず、自称“変な人”からの応募書類も20通ほど届いたという。
求めるのはただのただの奇人・変人ではない。革新的な技術やアイデアを持っていながら、社会性が欠けているため研究機関に所属できなかったり、研究費の申請書類をそろえられずにくすぶっている「異能」の人だ。「根っこからひっくり返す人がほしい」――高村氏は言う。
日本のインターネットは「変な人」が作った
「変な人」は、大手メーカー幹部や学識経験者などで構成する総務省の委員会「イノベーション創出委員会」で挙がったアイデアを具現化したものだ。技術発のイノベーションを興す方策を同委員会で議論する中、「人と違う視点で革新的なチャレンジを行う“変な人”を育てていく必要がある」という意見が出たという。
「ネット黎明期は“変な人”ばかりだった」――高村氏は振り返る。例えば、日本のインターネットの原点である学術ネットワーク「JUNET」を作った村井純氏。「お金もないのにKDD研究所から光ファイバーを借り、場所がないからと岩波書店の敷地を借りたり……」など常人離れした強い信念と行動力で、インターネットというイノベーションを日本にもたらした。
日本のインターネットは今、黎明期をとうに過ぎ、「ネットワークを強く・太くするなど“強み”を磨くことに投資できるが、全く違う新しいものはなかなか作れない」状態。黎明期のインターネットを支えた技術者のように「全く違う新しいもの」を作る技術者を、「変な人」枠で発掘・支援したいという。
「失敗」奨励する“変な”研究開発資金
「変な人」枠には、(1)義務教育を卒業していれば応募できる、(2)失敗を奨励する、(3)専門家の助言が得られる、(4)書類をそろえたり物品・予算の管理を行うなど事務的な作業を、事務局が代行してくれる――などの特徴がある。
科研費など国による研究支援は原則、申請者が大学や研究機関に所属している必要があり、「義務教育卒業以上」で応募できる枠は珍しい。これまで国の支援が届かなかった“異能”の発掘を目指し、在野の研究者の申請に期待する。
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