CES 2016
2016年、“ソニーのハイレゾ”はどうなる? ―― ソニーの商品企画担当キーマンに聞いた(1/3 ページ)
今回のCESに多くのオーディオ関連製品を出品したソニー。ハイレゾを全面に打ち出している同社は、どうのような戦略を持っているのだろうか。出展されたオーディオ関連製品を振り返りながら、それぞれの商品が開発された背景と戦略をソニービデオ&サウンドプロダクツで商品企画部門を統括する北島行啓氏にインタビューした。
ハイレゾをファッショナブルに楽しむ「h.ear」シリーズの新モデルが登場
北米地域においても“ハイレゾ”は、ソニーがオーディオ製品の差別化における最も重要なポイントとして掲げる要素であることには変わりがない。「日本やヨーロッパと比べて北米でハイレゾの出足が鈍いことは確かですが、それぞれのマーケットに最適化した戦略をもって、ハイレゾを根付かせていきたい」と北島氏は語る。
そのハイレゾ戦略において重要な位置づけにあるのが、日本では昨年の秋にデビューした「h.ear」シリーズだ。「ハイレゾの高音質にファッション性も追求したh.earシリーズを一気にプッシュするため、北米では日本で先行展開しているパッシブタイプ、ワイヤードタイプのヘッドフォン/イヤフォンを含めて、春に全ラインアップを同時に立ち上げます」という北島氏。今年のCESで発表された新製品として、抑えておきたいのは“ワイヤレス”や“アクティブ・ノイズキャンセリング”などの機能を追加したヘッドフォンとイヤフォン、並びにワイヤレススピーカー「h.ear go」だ。
いずれも昨年のCESで発表されたBluetoothでハイレゾ相当のワイヤレス音楽再生が楽しめる高音質コーデック「LDAC」に対応した点にも注目だ。とくにヘッドフォンは「MDR-1ABT」の発売以降、ウォークマンやXperiaなどソニーの送り出し側の機器は続々とLDACに対応してきただけに、待ちに待った「スタンダードクラスのLDAC対応ヘッドフォン&イヤフォン」が出てきたことは大いに歓迎したい。
ヘッドフォンの「h.ear on Wireless」は40mm口径のHDドライバーを搭載。ハイレゾ対応のデュアルノイズキャンセリングテクノロジーを採用して、ヘッドフォンの内側と外側に設けたマイクで集音した環境音からノイズ成分を解析、DNCソフトウェアエンジンにより効率よくノイズだけを低減する。圧縮音源で失われがちな高音域と微細な音を再現する「DSEE」も搭載した。カラーバリエーションは先行する「h.ear on」と同じビリジアンブルー、シナバーレッド、チャコールブラック、ライムイエロー、ボルドーピンクの5色だ。
CESの会場に並べられていたデモ機は展示の都合上(主に盗難防止のため)、すべてウォークマン「A20シリーズ」にケーブルでしっかりと固定されていたので、あいにくワイヤレス再生の実力を確かめることはできなかった。でも、騒々しいCESの展示会場は本機のかなり強力なアクティブNCの効果を体験するのに絶好の環境だった。非常に自然で、高性能なノイズキャンセリング効果に太鼓判を押しておきたい。
イヤフォンの「h.ear on Wireless」はネックバンドスタイルのデザインを採用。こちらもBluetoothは高音質コーデックLDACに対応した。ワイヤードタイプの「h.ear in」と同じ9mm口径のハイレゾ対応ダイナミックドライバーを搭載する。本機はリスニング自体できなかったので、また国内での導入が見えてきたら実機のレビューもお届けできればと思う。
「h.ear go」は“世界最小のハイレゾ対応ポータブルワイヤレススピーカー”をうたう、Wi-FiとBluetoothの両方に対応したコンパクトでカラフルなスピーカーだ。北島氏は「あのコンパクトな筐体でハイレゾ対応を実現して、しかもWi-Fiにも対応するなどデバイスの開発にはかなり時間をかけて取り組みました」と振り返る。「SongPal Link」に対応し、モバイルアプリで音楽再生やマルチルームコントロールが管理できる。サウンドバーなどと組み合わせて、SongPal Linkを使ってホームシアターの簡易的なリアスピーカーとして活用できる。しかも電源ケーブルまで“ケーブルレス”のリアスピーカーになるので、相応の使い勝手が広がりそうだ。
今回発表した新しい「h.ear」シリーズの企画背景について、北島氏は次のように語っている。
「ヘッドフォンやイヤフォンによるポータブルリスニング、ホームオーディオともに“ケーブル接続”の煩わしさから解放されたいという要望は、アメリカに限らず世界各地域のユーザーから寄せられていました。ハイレゾを強く打ち出す戦略はソニーとしてグローバルで一貫したものですが、アメリカではワイヤレス、ノイズキャンセリングによる利便性も同時にアピールしながら一斉にシリーズをデビューさせます。これまでとひと味違うファッショナブルで、しかも普及価格帯の製品シリーズが、アメリカでのハイレゾ普及を後押ししてくれるものと期待しています」
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