ちょっと昔のInnovative Tech

「素数」はランダムではない 出現周期に現れる“偏り”とは? 2016年発表の論文を紹介

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このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。

X: @shiropen2

 米スタンフォード大学と米タフツ大学に所属する研究者らが2016年に発表した論文「Unexpected biases in the distribution of consecutive primes」は、長年、ランダムだと考えられてきた素数の出現パターンに、予想外の規則性が存在することを発表した研究報告である。

「素数」はランダムではない 出現周期に現れる“偏り”とは?

 素数は、1と自身以外で割り切れない数であり、他の全ての数は素数の積で表現できるため、数論の基礎を理解する上で極めて重要である。しかし、ある数が素数であるかどうかを予測する方法は存在せず、数学者たちは素数がランダムに出現すると考えてきた。

 研究者たちは、最初の1億個の素数を調査し、興味深いパターンを発見した。1で終わる素数の直後に再び1で終わる素数が現れる確率は、わずか18.9%であると判明。7以上の素数の下一桁は必ず「1」「3」「7」「9」のいずれかになるため、もし素数が完全にランダムに分布しているなら、この確率は25%になるはずである。

 1で終わる素数の後には、3や7で終わる素数が予想以上に多く現れ、それぞれ約30%の確率で出現。9で終わる素数は約21.8%の確率で1の後に現れ、同様のパターンは他の末尾の組み合わせでも観察できた。全ての組み合わせにおいて、予想されるランダムな値からの偏りが見られたのだ。

最初の1億個の素数における、連続する2つの素数の末尾の組み合わせの出現回数

 このことは、このパターンが素数自体に内在する性質である可能性を示唆している。ただし、このパターンは、より大きな数を調べるにつれて、徐々にランダムな分布に近づいていく傾向がある。具体的には、このバイアスの大きさが「loglogx/logx」のオーダーで減少すると予測している。

Source and Image Credits: Lemke Oliver, Robert J., and Kannan Soundararajan. “Unexpected biases in the distribution of consecutive primes.” Proceedings of the National Academy of Sciences 113.31(2016): E4446-E4454.

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Innovative Tech

2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

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この記事の著者

山下裕毅
山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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