分かりにくいけれど面白いモノたち
パイロットの「エアステップ」はなぜ気持ちよく、長く書けるのか? “アガるシャーペン”の仕組み、開発者に聞く(3/6 ページ)
パイプは、芯折れを防ぐためのガイドパイプではないので、「オレンズ」などと違ってパイプの先から芯を出した状態で書くのだけど、最近の芯は折れにくいし、芯径も0.5mmなので、筆記中にやや強めに筆圧を掛けても芯が折れることはなかった。
むしろ、パイプが紙に当たらないため、書き味が柔らかく、スケッチなどをする際に、塗りつぶしたりする作業が楽に行えた。筆圧をかけると、芯が潜る「クッションシステム」のおかげで、書き味がとてもソフトなのも個人的には好みの書き心地。2Bなどの芯を入れると、鉛筆のようなタッチで、長く書いても疲れにくかった。
そうやって書いていくと、芯が減ってパイプが紙にあたる感じになる。通常、そこでノックなり、フレフレなりして芯を出すのだけど、エアステップの場合、ここで芯の先を紙に押し当てるようにすると、パイプの先にちょうどいい長さで芯が露出する。この繰り返しで、パイプが完全にペン先の中に入り込むまでは、ノックせずに筆記が続けられるわけだ。
一度のノックで書ける筆記距離としては、ガイドパイプが芯の縁具合に合わせて引っ込んでいく形の「芯折れ防止機構」搭載のシャープペンシルと同じなのだけど、パイプを引き摺る必要がないのがポイント。また、一気に書く分量として、約4mm程度書ければ十分というのが、実際に使っている私の印象。特に手書きで長文を書くことが少なくなっている現在、スケッチやアイデア出し、メモ、問題集などに書くなら、ちょうどいい筆記距離に感じられた。
「自動繰り出しは、パイロットには『S30』があったんですけど、現在は廃番となっています。いろいろ懸念点があって、やっぱりシャープペンシルは、チャックがしっかりと芯を掴んでいる安心感のある構造でいきたいという思いがありました。今回の機構も、チャックは基本的には通常のシャープペンシルと同じです。チャック自体に樹脂製のバネが付いていて、そこが収縮するのですが、ガイドパイプはバネの影響がないところで稼働しているという仕掛けになっています。例えるなら、芯はジャンプ台に乗ってるんですけど、ガイドパイプはジャンプ台に乗ってないので、一緒に押されたときに、芯の後ろにあるバネは収縮して、もとに戻ろうとするのだけど、パイプはただ押されて、そこで止まるという仕掛けなんです。で、押されている力が開放されると、バネは元に戻るから芯が前に出て、でもパイプは押された位置に留まるので、パイプの先に芯が露出するというシンプルな構造なんです」と多賀さん。
そう聞くと、確かに単純ではあるのだけど、実際に操作してみてもいまひとつピンと来ないのは、まるでパイプの先から芯が繰り出されているように見えるからだろう。実際は、パイプが押された分、一緒に引っ込んだ芯が、バネの力で元の場所に戻るけど、パイプは押された位置に留まっているという仕掛けなのだ。
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ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
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