分かりにくいけれど面白いモノたち
パイロットの「エアステップ」はなぜ気持ちよく、長く書けるのか? “アガるシャーペン”の仕組み、開発者に聞く(4/6 ページ)
ちょっと回りくどい機構なので、直観的には分かりにくいけれど、書いている状態のまま、ただパイプに隠れそうになっている芯を紙に押し付けるだけなので、フレフレ機構やサイドノックに比べても、動作が小さくて済むのがポイント。使っていると、本当に自動芯繰り出しのような気分になるから面白い。
もちろん、ガイドパイプが完全にペン先の中に入ってしまうと、もう一度クリップをノックする必要はある。ただ、この場合も、クリップはノブノック式に比べれば、握っている指に近い場所にあるので、比較的スムーズにノック操作ができる。また、この機構のチャックの後ろに付いた樹脂製のバネのおかげで、多少の筆圧は吸収されて、書き心地がソフトになるというメリットもあるのだ。
「バネが樹脂製というのもポイントなんです。金属製のバネだとちょっとの力でも収縮しますよね。そうすると、書こうとすると芯がもぐっちゃうから字が書けない。樹脂にすることで軽い力だとバネは作動せず、意図的な力で初めて作動するという仕掛けを作れます。ソフトタッチ機構も、このバネの副産物的な感じで実現しています」と多賀さんは説明してくれた。
バネが働く強さをある程度コントロールできるし、耐久性もあるということで、樹脂製のバネを採用したという説明は理解しやすいけれど、実際に、バネの強度や、どの程度の力で芯の押し戻しを作動させるかといった設定を決めるのは大変だったと思われる。そこが上手く出来ているからこそ、柔らかいタッチで書けるということを機能として前面に出すことも可能になっているわけで、製品作りというのが、様々な要素の組み合わせでできていることを実感する。この柔らかいタッチを生かすために、最初に入れておく芯を2Bなどの柔らかいものにしようかという議論もあったという。
この機能面だけでも、500円以下で買えるシャープペンシルとしては十分に思えるのだけど、この製品で最も苦労したのは、ネーミングであり、シェイプデザインであり、軸とグリップの色合わせだったそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
分かりにくいけれど面白いモノたち
ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
個人向けGeminiのモデル選択が厳格化 無料ユーザーが使えるのは「Flash-Lite」のみに
-
2
「Androidのマイナンバーカード」提供へ 20日から 物理カードなしでも本人確認など可能に
-
3
「OpenAIの文化は壊れている」──安全性報告書を統括した従業員が退社し、寄稿
-
4
タイムズカー漏えいで集団訴訟の動き、登録3000人弱 呼び掛けた弁護士に聞いた──「謝罪で済む案件ではない」
-
5
再び浮上した「クレカ表現規制問題」 クリスタやpixiv FANBOXの騒動からマンガ家が感じた不安と焦り
-
6
「アバハウス」全顧客の情報漏えいか 会員・受注DBに不正アクセス 「不審な返金メール届いた」報告で判明
-
7
第一生命に不正アクセス 従業員情報12万人分漏えいか 退職者も対象
-
8
免許証の悪用防ぐ届出集中、CIC・JICCで手続き遅延 タイムズカー情報流出直後に
-
9
貧乏な子どもが“稼げる大人”になる条件とは? 米ハーバード大などがFacebook7000万アカウント超から分析 2022年にNature掲載
-
10
靴のムーンスター、顧客情報漏えいの可能性 氏名や住所、注文情報など
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR