BYDの軽EV「RACCO」は買いか? 補助金込みで200万円切り、競合の日産・ホンダが受ける衝撃(1/3 ページ)

 中国BYDが日本の軽自動車規格向けに設計した電気自動車(EV)「BYD RACCO」(以下、RACCO)を発売した。価格は214万5000円からで、全モデル・グレードが国のCEV補助金15万円の対象に。補助を受けた場合は200万円を切る価格から購入できることもあり、にわかに注目を浴びている。

RACCO(画像は公式サイトから引用)

 一方で、すでに軽EVの分野には日産の「サクラ」やホンダの「Super-ONE」といった競合車種もある。果たして、こうした先駆者を踏まえてもRACCOは“買い”に値するクルマなのだろうか──結論から言えば、筆者はRACCOを「条件付きで買い」と考える。

BYDの技術が盛り込まれたRACCO

 BYDはRACCOを「世界初のSDVベースの軽EV」と説明する。バッテリー、電子制御ユニット、車載充電器、高電圧配電ユニットなどを一体化した新技術「X-PACK」や、左右の電動スライドドアを特徴とする他、通信経由でソフトウェアを更新するOTA(Over The Air)にも対応。購入後も車載機能や操作性などをアップデートできるという。

RACCO(写真は「Japan Mobility Show 2025」で展示されたプロトタイプ)

 ラインアップは、エントリーグレード「RACCO 200」、中間グレード「RACCO 300Plus」、最上位グレード「RACCO 300Premium」。価格はそれぞれ214万5000円、239万8000円、249万7000円。国土交通省審査値による1回の充電当たりの航続距離は、200が210km、300Plusと300Premiumが320kmとなる。ボディカラーは全6色。

 目立つのは価格だが、単に安いことだけがRACCOの強みではない。その真価は、EV専業メーカーとして世界規模で量産してきた技術を、日本の軽自動車市場に投入してきた点にある。

 特に重要なのが、LFP(リン酸鉄リチウム)系バッテリー技術をベースとした「Blade Battery」だ。LFP電池は、一般的にニッケル系リチウムイオン電池と比較するとエネルギー密度では不利な面があるものの、熱安定性が高い、長寿命、コストを抑えやすいという特徴を持つ。

 軽EVでは搭載できるバッテリー容量に限界があるため、単純な電池容量ではなく、車両全体としての効率や制御技術が重要になる。この点で、BYDは電池セルからパック、車両制御まで一体で開発できることが大きな強みとなる。

 もう一つ、EVを購入する際、車両価格や航続距離と並んで重要なのが、数年後にどれだけ価値が残るかという「残価(リセールバリュー)」だ。新車価格が安く、電池性能に優れたEVであっても、中古車市場で評価されなければ、実質的な所有コストは高くなる。

 RACCOは日本市場でどの程度の残価を期待できるか。プラス材料は明確だ。BYDは世界最大級のNEV(EVおよびPHEV)メーカーで、中国市場では年間数百万台規模の販売実績を持つ。また、Blade Batteryに代表されるLFP系バッテリー技術は、安全性、耐久性、長寿命という点で高い評価を得ている。

 一方で、日本市場では中国ブランドの中古車評価はまだ形成段階にある。現在、日本国内では「ATTO 3」「DOLPHIN」「SEAL」などBYD車の中古流通が始まっているものの、国産メーカーと比較すると市場データは少ない。

 さらに、EV価格競争が激しくなることで、新車価格の変動が中古車価格へ影響する可能性もある。つまりRACCOは「EVとしての価値」は高いが、「中古車としてどの程度評価されるか」は、これから市場が判断していく段階にある。

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