BYDの軽EV「RACCO」は買いか? 補助金込みで200万円切り、競合の日産・ホンダが受ける衝撃(2/3 ページ)

日産「サクラ」やホンダ「Super-ONE」と比較

 他の軽EVに比べるとどうか。これまで日本の軽EV市場では、日産のサクラが大きな存在感を持ってきた。サクラは、軽自動車という日本独自の市場に対し、EVならではの静粛性、力強い加速、低重心による安定した走行性能を組み合わせた商品であり、日本市場における軽EVの成功例となった。

サクラ(公式サイトから引用)

 サクラの強みは、最新技術だけではない。日産ブランドへの信頼、全国に広がる販売・整備ネットワーク、そして軽自動車市場そのものの成熟度が大きな武器になる。日本では軽自動車の中古市場が非常に成熟しており、地方を含め幅広い需要が存在する。サクラは発売以来、多くの販売実績を積み重ねており、中古車市場でも一定の価格形成が進んでいる。

 ただ、EV技術という観点では、RACCO含む最新世代の中国EVと比較すると課題もある。搭載バッテリー容量や航続距離では、今後登場する新世代軽EVに対して不利になる可能性がある。

 一方、ホンダのSuper-ONEは、また異なる強みを持つ。EVは構造上、静かで力強い加速が可能だが、一方でエンジン車特有の操作感やフィードバックを失いやすい。Super-ONEは、EVのメリットを生かしながら、ホンダらしい走りの楽しさを電子制御によって再構築することを目指している。ホンダが狙うのは、単なる移動手段としてのEVではなく、「運転する楽しさ」を持ったEVだ。

ホンダのSuper-ONE(公式サイトから引用)

 また、ホンダは軽自動車市場で「Nシリーズ」に代表される強いブランドを築いており、全国規模の販売・整備網を持つ。この点は、将来的な残価形成において大きなプラス要素となる。ただし、発売直後のモデルについては中古車市場での評価がまだ存在しないため、実際の残価は販売後の市場評価を見る必要がある。

BYD RACCO、日産サクラ、Honda Super-ONEの比較
車種 EV技術 ADAS OTA更新 価格競争力(補助金込) 残価期待 アフターサービス
BYD RACCO 214.5-249.7万円(199.5万円~) △~○ △~○
日産サクラ 244.86-299.86万円(186.86万円~、東京都96.86万円)
ホンダ Super One ○~◎ 339.02万円(209.02万円~、東京都119.02万円) ○~◎
※価格・補助金はグレードや自治体によって変動するため、購入時には最新情報の確認が必要。

 まとめると、RACCOの評価すべきポイントはEVとしての完成度であるといえる。特に、自宅充電が可能、日常利用が中心、近隣に販売・整備拠点がある、長期間所有する予定というユーザーにとっては、非常に魅力的な選択肢になる。EV専業メーカーとして培った電池技術、大量生産によるコスト競争力、そして軽EVとして十分な実用性を考えると、価格帯に対する商品力は高い。

 一方で、日本市場におけるブランド価値や中古車市場での評価は、まだ形成段階にある。BYDは世界最大級のNEVメーカーであり、中国市場では圧倒的な販売規模を持つが、日本で乗用車販売を開始したのは2023年からで、中古車市場において国産メーカーのような評価はまだない。販売・整備網においても日産・ホンダと同等とは言えないだろう。

 また補助金を申請すると、4年の保有義務が発生するため、その程度で乗り換える前提のユーザーや、残価や全国均一のサービス体制を重視するユーザーにとっては、サクラやSuper-ONEの安心感が現時点では大きい。

 つまりRACCOは、「EVとしての技術価値はすでに高い。しかし、日本市場での所有価値はこれから形成されるモデル」という位置付けになるだろう。

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

この記事の著者

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR