走るガジェット「Tesla」に乗ってます

Tesla歴5年の筆者がみなさんの疑問に答えます(1/5 ページ)

 「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現される米Tesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、このクルマを連載形式でリポートします。

 2021年9月に始まった本連載は、めでたく60回を迎えました。筆者のModel 3は走行距離が約4万3000kmになり、この9月で2回目の車検を迎えます。本稿では、テスラ購入を検討している人や、最近納車されたばかりのユーザーに向けてちょっとしたアドバイスをお届けします。

航続距離の観点から、ロングレンジAWDとRWDのどちらを選ぶべきか?

低い視点から見るModel 3はかっこいい。5年乗っても飽きがこない。Model 3レガシーは、2016年3月発表なので10年以上基本デザインを変えていないことになる

 5年前、Model 3を注文する際、ロングレンジにすべきかスタンダードレンジプラス(現RWD)を選ぶべきか迷いました。それまでガソリン車に乗っていたため、EVの航続距離に対する不安が当然のようにありました。当時、580km(WLTP)をうたうロングレンジAWDを選ぶと安心です。ただ、448km(WLTP)と距離的に劣るものの、税込み429万円、環境省の補助金80万円を考慮すると実質349万円で購入できるスタンダードレンジプラスのコスパも捨てがたいものがありました。

 ストアのアドバイザーに相談しました。年に1〜2回、横浜から故郷の岡山に帰省する旨を伝えると、「であればロングレンジAWD一択です!」とのアドバイス。これに従いロングレンジAWDを注文しました。しかし、実際に運用してみると、航続距離という観点に絞れば「RWDでも十分だった」というのが現在の心境です。

 以前、本連載のEV旅の秘訣は“満タン主義“との決別 テスラで「往復3000kmドライブ」(前編)では、Model 3で横浜と長崎の往復旅をリポートしました。このような長旅の運行記録を見てもRWDで問題なかったことは確信しています。カタログ航続距離が448kmであれば、実用領域を7掛けで見積もっても300km以上は走れます。筆者の場合、2時間に1回は高速道路のSA/PAで30分〜1時間近く休憩をとるため、その間に充電すれば十分なのです。

当時の注文画面。筆者の場合、注文直前に10万円の値上げがされたため、AWDを509万円で購入。この後、円安の進行と共に、AWDの価格は一時700万円近くまで上昇

 その一方で、ロングレンジAWDを選んだからこそのメリットを強く感じる場面もあります。横浜から西へ向かう際、滋賀県の大津スーパーチャージャー(SC)まで無充電で走りきれる点は非常にありがたいです。前述の長崎3000kmの旅でも、途中一泊した岡山(93%で出発)から福岡SCまで、バッテリー残量5%で無充電走破を実現しました。

 前述の様に休憩中に充電すればいいとはいえ、SA/PAの充電器に寄ってCHAdeMOアダプターを準備し、制限時間の30分が来たら車に戻って一般駐車場へ移動させる……という手間は、ストレス以外の何ものでもありません。また、経路途中のSCを利用する場合は、高速道路を一時退出する必要があり、深夜割引がリセットされて初乗り料金が加算されるという金銭的なデメリットもあります。

宝塚北SAにて。大蛇のような重く長いケーブルをCHAdeMOアダプターに接続して、劣化して文字の判別が難しいパネルを操作をして、カード番号を入力して……。ストレスでしかない

 では、仮に筆者が今、新しいModel 3に乗り換えるとしたらどうするのでしょうか。迷わずRWDを選びます。最新のRWDはWLTCモードで594kmを実現しており、これは5年前のロングレンジAWDと同等レベルです。実質的な航続距離を7掛けとしても400km以上。Model Y RWDでも547km(WLTC)を確保しています。

 400kmであれば、横浜の自宅から三重県のみえ川越SC(343km)まで余裕で届きます。冬期以外で節電走行を心がければ、大津SC(423km)まで行けるかもしれません。実際、私は新東名の120km/h区間でも80〜90km/hでゆったり走ります。来年には齢(よわい)70を迎えることもあり、ノーストレスでゆとりのある旅を実践しています。

 ここでは航続距離にフォーカスしましたが、ロングレンジAWDとRWDには、4輪駆動の有無、スピーカー数、サブウーファーの有無などの違いもあります。このあたりは、個人のライフスタイルや居住地、こだわりポイントを考慮して総合的に判断してください。

 また、AWDのバッテリーは三元系リチウムイオンバッテリーなので、普段は、劣化を抑制する80%充電が基本であることも考慮する必要があります。RWDは、LFP(リン酸鉄リチウム)なので日常的に100%運用が可能です。

 私の本業は音楽制作ですが、車載オーディオに過度なこだわりはないため、RWDのオーディオ仕様でも全く問題ありません。現行モデルの試乗時にも自身のプロデュース音源でそこは確認済みです。今の車のサブウーファーはむしろオフにしているくらいで、その理由は、以前の連載記事音響エンジニアが考える、テスラ「モデル3」オーディオ設定の最適解をご参照ください。

21年型Model 3 AWDのスピーカー位置。サブウーファーユニットはトランク横に設置。60〜80Hz以下の低域は定位感が乏しいのでセンター設置である必要はなし

 ちなみに、Model 3かModel Yかで迷う方も多いでしょうが、これもライフスタイルや環境次第です。筆者の場合、住環境や訪問先での機械式駐車場への対応を考えると、サイズ的にModel Yは最初から選択肢に入りません。

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