コードが書けない筆者が愛車用にアプリを2本自作 「AI製アプリで起業」の夢膨らむも、見えた有料化の壁(1/3 ページ)

 「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現される米Tesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、このクルマを連載形式でレポートします。


甲斐駒ヶ岳を望むポイントで我がModel 3の記念撮影。Bピラーからテールに向かってなだらかに弧を描く流麗なラインがセクシー!と悦に入る

 AIの進化に伴いそのスキルがない場合でも、プログラミングや第三者が公開しているAPIを利用して独自のソフトウェア・アプリを開発することができるようになりました。今回は、自分のためだけのTesla用iPhoneアプリを2件、数日のうちに開発した話題をお届けします。

 山崎(筆者)は2008年からiPhoneアプリの開発に携わっていますが、それはあくまでもプロデューサーという立場であって、実際のコーディングは外部の専門家に依頼していました。したがって、筆者のプログラミングのスキルは皆無に等しい状況です。

 いきなり、老害系の昔話をします(笑)。かつてApple Inc.がApple Computer, Inc.と名乗っていた時代、HyperCardという秀逸なソフトウェアがありました。HyperTalkというスクリプト言語でインタラクティブでマルチメディアな独自ソフト的なもの(スタック)が作れる画期的なソフトでした。

 思えばHyperTalkは、自然言語(英語)に近い記述で専門知識がなくてもプログラムが書けるという敷居の低さがウリで、筆者も一所懸命習得した覚えがあります。マルチメディアソフトの制作会社から仕事の依頼が来るほどでした。

Internet Archivesにかつてのスタックがコレクションされている。Webブラウザ上のエミュレータで動作

 その後、プログラマーの道を選ばず今に至っているわけですが、AnthropicのAI「Claude Code」を知った瞬間、HyperTalkの夢をもう一度ではないですが、自分専用のソフトウェアを苦もなく開発できる点に興奮したのは言うまでもありません。

 それならばとClaude Codeを使ってTesla用iPhoneアプリを2件、数日のうちに開発しました。今回はその様子をお届けします。ただし、手順を解説するわけではありません。手順はAIに質問すれば済むことですので、興味があればご自身でお調べください。ここではアプリの機能と開発動機、そしてその経験から得られたAIとの接し方について報告します。

Claude Codeが動作するmacOSのTerminal画面。「ジオフェンスを設定して域内からの出入りで記録の開始をオン・オフする機能を追加」といった形で日本語の自然言語で開発を進めることができる

開発したアプリは以下の2件です。

  • 高速料金チェッカー
  • 電費ログ

 「高速料金チェッカー」は、高速道路を退出した際にスーパーチャージャーで充電した場合の目的地までの総合的な料金と、退出しないでSA/PA内のCHAdeMOの充電器を利用した場合の金額差を計算してくれるアプリです。

 スーパーチャージャー(SC)は、現在SA/PA外に設置されています。利用するには高速道路を一度退出しなければなりません。充電終了後に再入場することになりますが、その場合は初乗り料金が加算され、目的地までの総額が上がります。その一方で、SA/PA内に設置されているCHAdeMOの充電器を利用すれば、退出不要で初乗り料金も加算されません。

夕暮れの遠州森町PA、手前のCHAdeMOはPA内の駐車エリアに設置されているが、向こう側に12基並んだスーパーチャージャーはスマートICからの一時退出が必須。人間は歩道経由でトイレ・売店等にアクセス可能。筆者の白いModel 3が充電中

 さらに、30%の深夜割引適用時間に入場した場合、一度退出するとそれ以後の道程では時間外になることが多く、割引きがリセットされて通常料金が適用されます。その場合の差額も考慮する必要があります。

 現状、TeslaでCHAdeMOの充電器を利用するためには、専用のアダプターを介する必要があります。このアダプターは充電出力が最大50kWに制限されています。昨今、90kWや150kWの高速充電器が登場していることを考えると、力不足であることは否めません。

 さらにCHAdeMO充電には「1回30分」という制約があります。以前、本連載で充電待ちの他車がいない状況での「おかわり充電」を報告した際、SNSでマナーに関する指摘を受けたため、それ以来SA/PAでの充電は1セッション(30分)に留めるよう心がけています。筆者のModel 3において、50kW×30分の充電で得られるエネルギー量は概ね21kWhです。電費(160Wh/km)を考慮すると、約120〜130kmを走行できる電力量です。

これらの要件を考慮して...、

  1. 一時退出してスーパーチャージャーを選択する
  2. SA/PA内のCHAdeMOを利用するか
  3. どのインターチェンジで退出するとお得なのか

 などの判断が迫られるわけです。それらの要件を踏まえて料金を算出しようというアプリです。

e-Mobility Powerとスーパーチャージャーの差額が一目瞭然

 冒頭で「自分のためだけのアプリ」と述べました。筆者のクルマ利用において上記のような料金計算が必要な場面というのは、年間1回〜2回の頻度で実施するホームタウン(横浜と岡山の往復)へのModel 3での帰郷がほとんどです。なのでメニューから選べる出発IC、途中退出IC、目的地ICは、その旅程のICだけに限定しています。

自分の帰郷ルート専用の高速道路料金計算が可能。途中退出ICもスーパーチャージャーが近くにあるICしか選択できない
12番目の画面ではルート設定の結果をもとにそれぞれの充電量などを入力することで、下図の差額料金が導かれる仕組み
上図を下にスクロールすると再入場による初乗り料金の追加と充電料金を合わせてe-Mobility Powerとスーパーチャージャーの差額が表示される

 高速道路料金を節約するために、原則として深夜割引を利用します。深夜割引を適用させる上で、途中退出は大きなネックになるのは前述の通りです。

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