コードが書けない筆者が愛車用にアプリを2本自作 「AI製アプリで起業」の夢膨らむも、見えた有料化の壁(2/3 ページ)

バイブコーディングの醍醐味を知る

 アプリの開発は完全にClaude Code頼みでした。コーディングはもちろん、UIのデザイン、高速道路料金の検索、2026年度以降に導入予定の新割引制度の事前実装、バグの探索など、あらゆる作業をClaude Codeに任せました。

 指示は日本語の自然文で行うだけです。いわゆる「バイブコーディング」という手法です。「私はTesla Model 3に乗っています。高速道路で遠出をする際、経路の途中で充電が必要です(以下省略)」といった書き出しで、アプリへの要望を箇条書きで伝えました。

 最初は、シンプルなプロトタイプを作成し、自分のiPhone内にビルドした上で、改良点や追加して欲しい機能やUIをステップを分けて順次構築していきます。基本的なUIは、すべてClaude Codeが自動で作成してくれるので、後はこちらで改良や追加を指示するだけです。

 感心したのは、下図のような「注意事項」の明記です。このような文言を入れてくれなど一切指示していませんが、各サイトなどの同項目から必要、あるいは重要なものを拾ってきて自動的に入れてくれました。また、UI全般(デザインや色遣い)もすべてClaude Codeの側で自動で決めてくれたものです。

横浜青葉ICから深夜料金で入場し、みえ川越ICで途中退出し再入場後岡山ICまでの路程における初乗り料金の追加コストが2940円と算出された事例

 最も時間とトークン(使用料)を費やしたのは、高速道路料金のデータ収集です。当初、Claude Codeからの提案で、NEXCO各社のサイトや「ドラぷら」(高速料金・ルート検索)で自分で料金を検索した上でのそのデータをAIに渡すのが正確で確実、ということだったのですが、やり始めるとこれがかなりめんどくさいわけです。

 そこで「料金はすべてClaude側で調べてほしい」と指示したところ、そこから延々と検索が実行され、多大な時間とセッション制限枠を何度も超えるトークンを消費しました。開発に数日を要したのはこの制限があったためです。追加料金を支払えば1日で完了したはずですが、余計な出費は避けたかったため、制限解除を待ちながら進めました。

 後から、ログを確認すると、NAVITIMEの高速道路料金検索にアクセスし1件ずつIC名を入力して収集したとあります。これを人力でやると、かなり面倒です。逆に言うと時間とトークン使用を惜しまなければ、全国津々浦々のICの料金もAIが自動で調べてくれます。

 料金検索については、「ドラぷら」を開発したゼンリンデータコムが公開しているAPIを利用する方法もあるようですが、こちらは、法人向けで有料です。また、料金もタリフベースではなく、相対見積りを基本としているため、筆者のような個人向け、ましてや「自分専用アプリ」などお呼びではありません。

 とまあ、このような経緯と思惑で開発したアプリですが、こと筆者の帰郷ルートに限っていえば、通常料金であろうが深夜割引であろうが、SA/PA内の充電器を利用するより、初乗り料金を加算しても、あらゆる条件においてスーパーチャージャーで充電した方が安価になるという結果でした。

 最大の理由は、2026年4月に料金改定されたe-Mobility Powerのビジター料金にあります。筆者の場合、充電の8割以上を自宅での普通充電で賄っているため、月額プランへの加入はコスパが良くありません。そのため都度ビジターとして利用します。kWh課金の充電器なら143円/kWh、出力別時間課金なら77円〜121円/分(30分で2310円〜3630円)と、いずれもかなり高額です。

従量制の143円/kWhは高い。30分ルールの下、約21kWhを充電したら約3,000円。時間制なら2310円也。スーパーチャージャーなら約21kWhで約1290円という計算

 余談ですが、e-Mobility Powerの充電器の中には、従量(kWh)課金しか受け付けないものがあるようで、ユーザーとしては充電前に確認する必要があります。

 その一方で、スーパーチャージャーは、61.4円/kWhと安価です。スーパーチャージャーの料金は、時間と出力の段階的併用制なので、CHAdeMOの様に単純計算で算出できません。そこで、これまでの利用明細から時間加重平均で導いたkWh単価を代入して計算しています。時間加重平均の算出もAIに任せました。これは筆者の事例なので、61.4円/kWhは普遍的な料金ではありません。

 「高速料金チェッカー」は、新しい深夜割引制度にも対応しました。この機能を追加する際も、「深夜割引の見直しについて」のURLをClaude Codeに読み込ませて自動対応させました。ただ、現状ではNEXCOが公開している新制度の料金シミュレーションと算出結果が異なる箇所があります。

 この部分は新制度導入までに精査が必要です。それにしても新制度は条件分岐が複雑で、筆者のアプリのことより、NEXCO側のシステム改修が円滑に進むのかが心配になるほどです。かつての、メガバンクのような大規模なシステムトラブルが起きなければ良いのですが…。

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「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、主にデジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式でリポートします。

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