「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現される米Tesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、このクルマを連載形式でレポートします。
Teslaというクルマはつくづく「ユーザー体験」を重視する企業だと感じています。その部分に私を含め多くのユーザーが充足感を感じているのではないでしょうか。具体的には、大型のスクリーンがもたらす車内体験の未来感、OTAによるソフトウェアアップデートでもたらされるユーザー目線での機能追加、「スーパーチャージャー」という独自充電ネットワークでの充電体験などです。
車内に短時間なら愛犬を留守番させておける「ドッグモード(ペットモード)」はその最たる例です。この機能は、あるTeslaオーナーが、Twitter上でイーロン・マスク氏宛に「音楽が流れてエアコンが効き、スクリーンには『大丈夫だよ。飼い主はすぐ戻ってエアコンも付いているよ』と大きく表示される機能をつけて」とツイートしたことに由来します。イーロン・マスク氏はわずか数分後に 「Yes」 と返信したといいます。
そして、数カ月後には、ソフトウェアアップデートでドッグモードが追加されました。今ではさらに進化し、ドッグモード作動中であれば、手元のスマホのロック画面に車内の様子がリアルタイム映像として表示される機能も追加されています。愛犬家にとっては、嬉しい機能です。伝統的なクルマメーカーのトップがSNSで返事を返し、ここまで迅速な対応を行ってくれる事例はあるでしょうか。
ある高名な自動車ジャーナリストが次のような趣旨でSDV(Software Defined Vehicle)に疑問を呈しているのを聞いたことがあります。彼はTeslaユーザーでもあります。曰く「SDVによるクルマの進化は否定しない。しかし、急速に導入する必要があるのか? 導入した場合のユーザーメリットは何か?」(大意)といった趣旨で懐疑的な意見を述べています。
そして、Teslaについても言及しています。SDVの1要素であるOTAによるソフトウェアアップデートについて「ワイパーの誤動作が少なくなった程度なんだよね」と半笑いで述べています。大所高所からクルマや業界を俯瞰する仕事をしているジャーナリストからすると、ワイパーの誤動作修正やドッグモードの追加などは、取るに足らない枝葉末節な事柄なのかもしれません。
しかし、筆者のような生活者としてのユーザーからすると、普段使いにおけるプチストレスを軽減してくれたり、ちょっと便利になる機能追加こそが正義であり、それこそがSDVの「真価」でありクルマの「進化」に他ならないと思うわけです。
スーパーチャージャーでの充電体験も他社の追従を許しません。クレジットカードが車両にひも付いているので、充電ポートにガンを差し込むだけで充電が開始され、充電中は残りの充電時間や出力がリアルタイムで表示されます。そして、カーナビの1機能として提供されている「トリップアドバイザー」が、目的地までに必要な充電量と距離を計算し、最適化された充電時間をアドバイスしてくれます。
充電終了の少し前と終了後には、スマホの専用アプリに通知が飛んできます。その替わりというわけではないのでしょうが、終了しているのに、車両を放置しておくと、最大で100円/分のペナルティ(諸条件あり)が発生します。
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