生成AI画像はなぜ“キショい”のか 消費者が抱く違和感の正体 広報のプロが解説(2/2 ページ)

炎上につながる3つの落とし穴

 では、広報・マーケティングが炎上を避けつつ生成AIを活用するには何を心がけるべきか。長沼さんによれば、大別して3つの注意点があるという。1つ目として「使えるからAIを使うのではなく、目の前の企画でAIを使うことが本当に適切なのかを考えるべき」と話す。

 分かりやすい反面教師となるのが、公正取引委員会によるアニメ制作現場の取引適正化を呼びかけるポスターが、生成AIを使っていたために炎上した一件だ。「(公取委の一件では)クリエイターを支援するというメッセージと、AIを使うという行為に矛盾があると受け止められた。つまり、問題は出来上がった画像だけではない。企業の存在意義やブランドストーリー、その企画が掲げているメッセージと、AIを使うという行為そのものに矛盾がないか。そこまで含めて判断する必要がある」

公取委の投稿したポスター(同公式Xアカウントから引用)

 2つ目の注意点は、生成AIを使うと、制作プロセスがブラックボックス化しやすくなることだ。従来のクリエイティブ制作は、企画意図を整理し、それをデザイナーやクリエイターに伝え、検討や修正を積み重ねて最終的な表現にたどり着く──といった工程を踏む。当然、責任者は「なぜこの人物なのか」「なぜこの構図なのか」「なぜこの表現なのか」をある程度説明できる必要がある。

 一方、生成AIの場合は指示を与えるだけで完成品、あるいはそれに近いものが出てくる。この場合、なぜその物体がその構図で描かれたのかといった意図を、利用者自身が十分に説明できない。結果、著作権や肖像権、既存作品との類似性、現実にはあり得ない描写、文字や製品形状の誤りなど、さまざまな問題を見落とす可能性があると長沼さんは指摘する。

 3つ目は、AIの利用が「AIが作ったのだから、ある程度は大丈夫だろう」という根拠のない信頼感を招きやすい点だ。結果、人間による検証が甘くなり、誤りや違和感を見落としてしまうという。「省力化するのは生成であって、思考や確認ではない。そこを取り違えないことが、企業が生成AIを安全に活用する上で非常に重要」と長沼さんは話す。

 「画像生成AIを巡る炎上は『AIだから炎上した』と単純化しない方がいい。背景には、生成AIによって、コンテンツを見る目そのものが変わってきたことがある。企業に問われているのは『AIを使うか、使わないか」という二者択一ではなく、なぜAIを使うのか、その企業がAIを使うことに必然性があるのか、人間が本来担うべき思考や責任までAIに委ねていないか。そこまで考えて初めて、生成AIを企業コミュニケーションの道具として使いこなせるのではないか」

ITmedia NEWS読者調査

当社では企業のビジネストレンドを明らかにするために読者調査を行っております。ご回答いただきました方の中から抽選で5名の方にAmazonギフトカード(3000円分)をプレゼント。何卒ご協力お願い致します。回答はこちらから!

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

この記事の著者

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR