小寺信良のIT大作戦
本来行政がやるべきDXをたった1人で完成 AIが変えた“実行可能な規模” 待機児童問題に一石を投じた「園えらびの手がかり」の例(1/3 ページ)
「保育園落ちた日本死ね!!!」というフレーズが日本中に衝撃を与えたのは、2016年2月のことである。待機児童の問題が解決しなければ就業が困難になるわけで、主にそのリスクを背負うのは若い母親である。
国ではこの発言をきっかけに待機児童解消に向けての施策が加速し、こども家庭庁によると、26年4月1日時点で全国1741市区町村の89.1%に当たる1552自治体が、国の定義による待機児童数をゼロと報告している。
では、待機児童の問題は解決したのか。今年2月にタレントのきゃりーぱみゅぱみゅ氏がXに「保育園落ちた」と投稿した。著名タレントであっても容赦なく保育園を落とされるという現実に、未だ待機児童問題は解決に至っていないことが垣間見える。
そのカラクリは「国の定義による待機児童数」だ。例えば「育児休業中である」「認可外の保育施設を利用している」といったケースは、国の定義による待機児童数には含まれない。子供を預けられなければ働けないのに、働き始めないと預けられないとは本末転倒である。いったん死ぬ思いしないと順番待ちの列に並べないというのは、行政のやることとしてはあまりにも非道であろう。
認可保育園が足りないという問題もさることながら、保育士が足りないという問題もある。働きたいのに預けられない問題と、預かる人がいない問題が掛け算になって、事態が膨れ上がっている。
こうした保育園探しにかかる時間や労力をなんとか軽減できないか、その一助となるサービスが8月に立ち上がった。「園えらびの手がかり」は、全国5万5000園以上の公開されている情報や園の求人情報を観測し、定員や空き、あるいは第三者評価などを収集し、情報を一元的に表示するサービスである。
開発しているのは、たった1人の個人だ。AIを活用して、国や自治体などに分散する全国の保育施設情報を収集・整理して、市民がアクセスできる形を構築した。
こうした取り組みこそ、本来は国や自治体がやらなければならないことである。だが多くの時間や人的リソースがかかるものとして、半ば諦められている。しかしAIを使って個人でもやれるということを示したことには、大きな意義がある。
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小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
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