東芝とNECは、米ハリウッドのすぐ近く、センチュリーシティに新築されたMGMタワーにあるシアターを借り切って、ハリウッドの映画スタジオが共同で提出している“ウィッシュリスト”に対し、HD DVDがすでに対応していることをアピール。HD DVDのビデオコーデックとして採用が予定されているオリジナルマスターとH.264、WMV9の画質比較を行うデモも行った。技術解説の内容は、昨年の秋、日本のCEATECで行われたものとほぼ同じではあるが、HD DVDが目指す2005年後半のHDソフト、プレーヤ発売に向けての大デモンストレーションとなった。
“ウィッシュリスト”とは、Columbia(ソニー)を除く主要な映画スタジオが共同で発表した声明で、DVDの次世代となるメディアに対してコンテンツ提供側の意見を集約。家電業界に提示したものだ。東芝デジタルメディアネットワーク社 主席技監の山田尚志氏は「我々は、ハリウッドウィッシュリストに完全に対応している」と話す。以下、その9項目を紹介しよう。
・シングルフォーマット
VHS対βの悲劇は繰り返してはならないというのが、ハリウッドの率直な意見。フォーマットが統一され、誰もが安心して「HDコンテンツを買えば、HDプレーヤーで再生できる」環境を作ることで、市場拡大も期待できる。
HD DVDは家電ベンダーやPCベンダーが集まるオープンな場で評価されているもので、シングルフォーマットにもっとも近い思想とは言えるだろう。また家電とPCの両アプリケーションにフォーマットであることは、HD DVDの基本的なコンセプト。
・コピープロテクション
コンテンツ提供者のビジネスモデルに応答する新しいコピープロテクションも要求のひとつ。この点はHD DVDもBlu-ray Discも十分に考えられており、コンテンツ提供者とともに暗号強度を上げている。
この件に関しては、DVD策定時に輸出規制の関係上128ビット暗号を使えなかったこともあり、コンテンツ提供者側も楽観視しているようだ。
・大容量と生産性
大容量を記録できるメディアであることと、さらにそれを安価に量産できるものであること。HD DVDの場合、既存のDVD製造設備を改変することで生産が可能。近い将来、DVD並の生産性を確保できるとしている。対して記録層の深さが0.1ミリしかないBlu-rayは、全く新しい生産設備と技術が必要になる。
・画質の高さ(1080pフォーマットでの記録前提)
HD DVDはDVDフォーラムで確認された高画質の新しいコーデックを用いることで、高画質を達成する予定。2月の幹事会で正式なコーデックが決まる予定だが、現在のところMPEG-2、H.264、MPEG-2/H.264マルチレイヤ、Windows Media Video 9の中から選択される。情報によると、MPEG-2、H.264、WMVの三つが選択される予定のようだ。プレーヤーへのコーデック搭載は全フォーマットが“必須”となり、ソフトウェア提供側はコーデックを選択して実装することになる。
ただしH.264やWMVの画質に関しては別途議論の必要があるだろう。なお、Blu-ray Discにおけるコーデックは、録画機ではMPEG-2となってるが、ROM規格に関しては現在決まっておらず、MPEG-2以外のコーデック採用も検討されている。
・音響品質
マルチチャンネルの高品質オーディオ。これは両規格ともサポート。
・互換性
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR