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サーバ版Longhornはクライアント版と同時開発

» 2004年05月06日 09時20分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Microsoftが次期Windows「Longhorn」(コードネーム)のクライアント版とサーバ版の開発作業を同時に進めていることを、同社幹部が5月4日に明らかにした。

 Microsoftのプラットフォームグループ担当副社長ジム・オールチン氏は、シアトルで開かれた同社の年次カンファレンスWinHEC(Windows Hardware Engineering Conference)で基調講演に立ち、「今やLonghornクライアントとLonghornサーバは密接に結びついている」と語った。

 Longhornの出荷はまだ遠い先だ。Microsoft幹部はこれまで、2006年に同製品をリリースするとしてきたが、オールチン氏は今回のプレゼンテーションで、Longhornのクライアント版およびサーバ版の出荷目標時期は示さなかった。

 Microsoftは以前、Longhornのサーバ版を提供するかどうかについて明言を避けていたが、その後、クライアント版のリリース後にサーバ版を投入する方針を示していた。

 オールチン氏は4日、同社が進めるLonghornクライアントとサーバの開発の連携が、両OSの同時出荷につながるのかを明らかにしなかった。だが、WinHECに出席したDirections on Microsoftのアナリストは、Longhornサーバはやはりクライアントのリリース後に出荷されるとの見通しを示した。Longhornサーバではより多くのテストが必要になるからだ。

 Microsoftの広報担当者は4日、こうしたアナリストの予測を認めた。「開発サイクルが同期化されたとしても、Windowsサーバとクライアントのメジャーリリースの出荷時期には、間隔を設けるのが通例だ」と同氏は述べた。Longhornに関してどれだけの間隔を空けるかはまだ未定という。

 「こうしたスケジュールで大事なポイントとなるのは、サーバの開発では、リリース前の追い込み段階でクライアント製品よりも多少多くの仕上げ時間がかかることだ」(同氏)

 オールチン氏によると、Longhornの最初のβ版は、これまでどおり来年初めにリリースが計画されている。また同氏は、Longhornの出荷までにMicrosoftが進めるクライアントおよびサーバソフトの投入計画について概要を明らかにした。

 サーバについては、Microsoftは今年、Windows Server 2003 64-bit Edition for Extended Systems、Windows Server 2003 Service Pack(SP)1、Windows Small Business Server 2003 SP1、Virtual Server 2005を投入する計画だ。来年のサーバロードマップでは、Windows Server 2003 Update、Windows Small Business Server 2003 Update、新しいWindows Storage Server(コードネーム:Storm)を予定しているとオールチン氏は説明した。

 クライアントについては、Microsoftは今年半ばにWindows XP SP2をリリースする準備を進めている。今年はこのほかにWindows Media Playerの新版、Windows XP Tablet PC Edition 2005、Windows CE 5.0、Media Center ExtenderをサポートするWindows XP Media Center Edition、Windows XP 64-Bit Edition for 64-Bit Extended Systemsの投入を計画しているとオールチン氏は述べた。また、MicrosoftのハードウェアパートナーはPortable Windows Media Centerデバイスの出荷準備に取り組んでいるところだという。

 WinHECでは、出席者全員にLonghornのプレビュー版が開発支援のために配布されている。オールチン氏は基調講演に集まったハードウェアメーカーに、デモの中で動画ウィンドウをいくつか開いて同OSのグラフィックス機能の一端を披露した。Windows XP搭載PCでは、動画にぶれが生じてビデオメモリがすぐに足りなくなったが、Longhornシステムでは、動画は滑らかに表示され、ビデオゲーム「Quake」をバックグラウンドで動作させることができた。

 オールチン氏はまた、Windows XPシステムからLonghorn搭載の新しいPCにファイルを容易に移せるよう設計されたファイル移行ウィザードも紹介した。ユーザーは特別なUSBケーブルかネットワーク経由でこの機能を利用できる。さらに同氏は、USBフラッシュメモリドライブからLonghornをインストールできる機能も披露した。移行作業がずっと簡単になり、移行のために週末をつぶさずに済むようになるだろうとオールチン氏は語った。

 オールチン氏はハードウェアメーカーに対し、Microsoftとの協力によって、優れたユーザー体験を提供する製品の開発に取り組むことを呼びかけた。「PCはいまだにただの道具と思われていることが多いが、われわれは力を合わせてそれ以上のものに変えなければならない。さまざまな体験の入り口の役目を果たすようにすることが必要だ」と同氏。「体験の入り口としてのコンピューティングでは何が大切か。スピードとパワーではなく、映像と音が大切だ」

 実際、Microsoftは体験(experience)という言葉にちなんでWindowsの現行版を「XP」と銘打ったが、このOSはソフトウェアに可能なことのごく一部を実現しているにすぎないとオールチン氏は語った。「確かに、体験という言葉からこの製品の名前を付けたのは、われわれの目指す目標をそれなりにイメージしてのことだった。だが、このOSで達成された成果はまだほんの序の口だ」

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