PlayStation 2やXbox、ゲームボーイアドバンスなど、現在発売されているコンシュマー機向けゲームソフトのパッケージの多くには、「全年齢対象」「12歳以上対象」「15歳以上対象」「18歳以上対象」と、対象年齢の目安を示すマークが付いている。
ゲームにどのマークを付けるかは、NPO法人のコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)の審査員による「レーティング審査」を元に決められている。審査員は、ゲームの専門家などではなく、一般公募した20−60代の男女。ゲームを全くプレイしたことのない年配の人から、ゲーム好きの若者までさまざまだ。
彼らはまず、CEROの倫理規定をもとにした審査基準や、ゲームの基礎知識を学ぶトレーニングを受ける。1日3時間ずつのトレーニングで、早い人なら5日間、ゲームに慣れていない人なら10日間程度で修了する。
トレーニングを修了した審査員が審査するのは、ゲームを撮影したビデオ。ゲームメーカーが、ゲーム内でレーティングの対象になりそうなシーンを2時間以内にまとめたものを、CERO内の専用ブースで視聴、同機構が定めた基準に則って、表現やシーンをチェックする。同機構が「レーティングの対象になる」と定めた項目は以下の通り。
項目 | 内容 |
---|---|
暴力表現 | 出血描写/身体分離・欠損描写/死体描写/対戦格闘・ケンカ描写/殺傷/その他青少年に極度な恐怖を与える描写 |
性表現系 | キス/性行為/裸体/排泄/抱擁/覗き行為/水着・コスチューム/性風俗業/性的なものを強く想起させる言葉/下着の露出/不倫・近親姦・強姦 |
反社会的行為表現系 | 犯罪描写/非合法な飲酒及び喫煙/麻薬/非合法なギャンブル/虐待行為 |
言語・思想関連表現系 | 言語・思想関連の不適切な描写 |
1作品を審査するのは3人。「判断が偏らないように、属性のバランスを考慮して選ぶ」(CERO事務局)。例えば、20歳代女性、30歳代男性、60歳代男性といった組み合わせだ。同じシーンを見ても、それがレーティング基準のどれにあてはまると判定するかは、年齢や性別によって多少ばらつきがあるからだ。
「白い水着の女性が海岸を走るシーンで、60歳代の審査員が、女性の衣装は下着にしか見えないと判定したことがあったが、他の審査員は同じ衣装を水着だと判断していた」(CERO事務局)。
女性の衣装が水着か下着かで、チェックすべきレーティング項目が異なる。属性の違う複数人で審査するため、人によって判断が異なるこのようなシーンでも、より客観的な判定が可能になるという。
各ゲームの対象年齢は、CEROの規定をもとに、3人のレーティング結果を総合して決められるのだが、過激な表現が極端に多いゲームなど、規定を通らないものもある。その場合は「レーティング不可」としてメーカーに通知。メーカーは問題箇所を修正して再度レーティングを依頼できる。
2002年のCERO発足当初、判定依頼を受けるゲームの74%が「全年齢対象」だったのが、2004年4月には69%に減っているという。子どもをターゲットにしたゲームだけを作ってきたメーカーも、レーティング制度導入後は、大人向けを含む幅広いジャンルのゲームを提供できるようになったようだ。
また、今月頃から発売されるタイトルには、従来の年齢別レーティングに加えて、レーティングの根拠を示す、「恋愛」「セクシャル」「暴力」「恐怖」「ギャンブル」「犯罪」「飲酒・喫煙」「麻薬」「言葉・その他」の9種類のマークが順次表示される予定だ。
「同じ分野のゲームで、同じ『12歳以上対象』のマークがついたゲームでも、レーティングの根拠はさまざま。例えばレーシングゲームなら、レースクイーンの衣装がセクシーという理由(セクシャル)で12歳以上対象になったものがある一方、公道を暴走するシーンがあり、道路交通法に違反しているという理由(犯罪/言葉・その他)で12歳以上対象になったものがある」(CERO事務局)。
新しい表示システムならレーティングの根拠が分かるため、ユーザーがよりゲームを選びやすくなるとしている。
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