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ファンを2基内蔵した「空調服」を初めて見た時記者は、その突飛なデザインと、“扇風機を服に付ける”という安易な発想を正直、少しバカにしていた。「きっとたいして涼しくないだろう」、そう決め込んで取材に出かけた。
そんな思い込みは、作業着型空調服を着て一変。本当に涼しかったのだ。取材後、Yシャツ型を1枚借りて帰ったのだが、帰る途中、灼熱の東京の路上で、何度も「着たい」とウズウズした。
ただ、嫁入り前で“お年頃”の記者、背面ファンを2台搭載したサイバーデザインなこの服を着る勇気が出ない。暑さでボーっとする頭で、「自分が関西のおばちゃんだったら、ためらいもなく着て帰るだろうな」と考えていた。
生まれてから20数年間、関西に住んでいた記者のみたところ、関西のおばちゃんは、見た目よりも実を取る傾向があるように思える。見た目が少々悪くても、便利なものなら積極的に受け容れるおおらかさがあるのだ。
「さすべえ」がその典型例。自転車用の傘スタンドで、傘を開いたまま自転車に固定できる。雨の日でも片手運転せずに済み、少々ダサいが便利なので、関西のおばちゃんの自転車には、ほとんどと言っていいほど装備されている。
空調服も、作業服タイプではなく、普段着として許せるデザインが登場すれば、関西のおばちゃんが飛びつきそうだ。関西のおばちゃんが空調服ブームに火をつけて、たくさんの人が当たり前のように着る時代が来れば、“お年頃”の記者だって堂々と着られるのに……いや、記者だって数年後には確実に「関西人のおばちゃん化」するんだから、もうちょっと待てばいいだけか……そんなことを考えていた。
ところで、発明好きの市ヶ谷社長、空調服にとどまらず、「空調座布団」や「空調ベッド」も試作し、技術のいくつかは特許を取ったという。仕組みは空調服第1号と同じ。体が当たる面はメッシュ加工にし、ベース部との間にスペースを確保。そのスペースに風を通す。自分の体温で座布団や布団があったまることもなく、暑い夏でも快適だという。
布団や座布団の販売予定はないが、パテントのライセンス提供は検討中。空調服に空調布団、空調座布団を揃えれば、部屋からエアコンや扇風機が不要になる。そんな日も近いかもしれない。
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