9月29日、東京・恵比寿のホテルで「情報システム部門のためのドキュメント作成・情報管理セミナー」が開催された。
“激変の時代を「ドキュメント」で勝ち抜く”と題されたこのイベントは、マイクロソフトのビジネスグラフィックスツールである「Microsoft Office Visio 2003」を利用して、企業内にある「情報」の価値を、いかにしてより高めていくかということに焦点を当てたもの。ITProや情報システム部門に従事する人々を対象に無料で申し込みを受け付け、当日はあいにくの雨模様にもかかわらず200名を超えるリスナーで会場は満席となった。
セミナーは基調講演からスタート。その基調講演は、パネラーによるディスカッション形式で行われた。
パネラーとして紹介されたのは、株式会社コア 新規・特別事業カンパニー ネットワークソリューション事業部 開発技術部 岡本尚氏、株式会社マイスター ソリューション事業部 取締役部長 野澤宇一郎氏、株式会社網屋 ソリューション・サービス部 WCMグループ シニアエンジニア 井出宣氏の三名。そしてモデレーターとして、ITmedia エンタープライズ編集部 浅井英二 編集長も登場した。
ディスカッションのタイトルは、「厄介なドキュメント管理 その解決策は?」というもの。企業の情報システム部が日常的に管理しなければならない「ドキュメント」類は、そのおびただしい数と内容の複雑さで担当者の悩みの種となっている。これにまつわる労力を少しでも軽減するにはどうしたらよいのか。この点について、コンサルタントや実際のソリューション導入に携わっている各パネラーの意見交換が行われた。
冒頭、浅井編集長が昨今のIT部門の変化について指摘を行った。従来は、ユーザー部門からの要求に応じたシステム構築というのがIT部門の仕事であった。ところが近年は、CIOという役職に代表されるように、IT部門は企業の経営部門に近い立場からそのサポートを行うという方向へと変化してきた。いわゆる「経営戦略とIT戦略の融合」という現象である。
浅井編集長は年間売上高が数百億ドルというあるグローバル企業の例をあげる。そこではIT関連の支出は売上高の1%以下に抑え、なおかつその75%を新しいプロジェクトに当てているという。
既存設備に70〜80%をかけるという世間一般とは正反対の投資手法をとる先進的な例だが、一方で情報システム部門には不断のコスト削減努力や生産性向上といった取り組みが求められており、少しの無駄も許されないという厳しさもある。
こうした活動の中で、情報システム部門が作成・管理しなければならないドキュメントは増え続けている。要件定義や企画、設計、実装、運用といったさまざまなカテゴリーがある、さらにその中に案件ごとあるいは部署ごとにこと細かなドキュメントが存在している。
こうしたドキュメント類は作ること自体が大変な作業ながら、その管理やそれを利用した他者とのコミュニケーションも重要だ。絶えず変更が加えられるし、他の人が見て分かりやすいことも求められる。
パネラーの一人、野澤氏は、「こうした条件を満たしながらドキュメントを作成しているところは非常に少ない」と指摘する。なぜなら、例えばIT資産管理をとってみても、コンピュータの台数にはじまりアプリケーションのライセンス、リース情報やレンタル情報など、把握すべき項目が非常に多岐に渡るためだ。情報システム部ではなく、総務部など他の部門が管理すべき項目も少なくない。こうなるとデータはばらばらに存在することになり、ドキュメントの仕様は各部署で異なるといった状況に陥る。
岡本氏によると、資産管理とはすなわちセキュリティ対策の土台にもなるという。まずはどこにどのようなクライアントが設置されているかを把握すること。これが対策の第一歩であり、現状ではこのことすら行われていない企業も少なくない。
さらに井出氏は、エンジニアの立場からこう指摘する。ドキュメントには、必要なことがすべて載っていることが大切である。そのためにはあとからでも見やすいフォーマットで、かつ誰にでも分かるように書かれており、さらにいつでもすぐにとり出せるような形で管理されていなければならない。
一方、経営判断の材料となるようなドキュメントでは、情報の緻密さもさることながら、パッと見てパッと判断できることも求められる。意思決定のスピードがその結果を左右することはもはや常識であり、そのためには情報をいかに素早く加工して活用するかが大切だ。
情報を伝える手法は文字や図版、動画、音声などさまざまあるが、こうした各パネラーが現場で感じたこと、言い換えれば現代の企業ニーズに応えるものとして、図表とデータが連携できるVisioというソリューションは一つのベストアンサーといえる。
50分という短いセッション時間の中で各パネラーが伝えたかったことは、正しい方法で情報を取り扱うことで、その価値はどんどん高まっていくということではなかっただろうか。そのためのアイデアが、この日のセミナーにはいくつも用意されていた。
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