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ますます先行き不透明なExchange Server

» 2004年10月25日 16時50分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftが今年5月、2006年に予定されていたExchange Server(コードネーム「Kodiak」)をロードマップから削除した後、このソフトの計画はさらに先行き不透明になっている。

 同社は当時、2005年に「Edge Services」をExchangeに追加するとしていた。これは企業ネットワークのエッジ部分で使用するインテリジェントMTA(メッセージ転送エージェント)で、セキュリティ、スパム・ウイルス保護を提供する。Edge Servicesは2004年以降に登場する唯一発表済みのExchange関連リリースだが、同社は今、その公約から後退しつつある。

 「われわれは依然、Edge Servicesに力を入れている」とMicrosoftのExchange Server部門上級ディレクター、キム・エイカーズ氏は10月22日の取材で語ったが、2005年の出荷目標を確認する質問については「時期について話すのは時期尚早だ」と答えた。

 製品ロードマップがないため、顧客にとってはライセンス購入を決定したり、アップグレード計画を立てるのが難しいとアナリストは指摘する。「Microsoftは顧客に対し、製品やアップデートの登場時期についての情報を提供する義務がある」とDirections on Microsoftのアナリスト、ピーター・ポーラック氏。

 MicrosoftはSoftware Assuranceプログラムなど複数年のライセンス契約を顧客に販売しているため、ロードマップを提供するのは同社の義務だとポーラック氏は主張する。

 企業にとって次に登場する製品は予測しにくくなっているが、MicrosoftはExchangeの増分アップデートを提供しているとRadicati Groupの市場アナリスト、テニー・タカハシ氏は語る。

 「Microsoftはこうした小さな改良にフォーカスしていると思う。ロードマップの情報がすべて入手できるのが理想だが。同社は適切な製品の開発に時間をかけている。これは向こう5年のロードマップを提供するよりも重要なことだと思う。とは言え、企業が不満を持っているのも理解できる」(タカハシ氏)

 Microsoftは最近、ユーザーが設定問題の修正を支援するツール「Exchange Best Practices Analyzer」をリリースした。5月にはExchange 2003用のスパムフィルター「Intelligent Message Filter」を紹介し、Exchange Server 2003のサービスパックをリリースした。

 英ProQuest Information and LearningのIT管理者フィリップ・コルマー氏は、今年の初めにアップグレードしたExchange Server 2003に満足しており、すぐに新たなアップグレードは求めていない。「現時点では、Microsoftが新製品について何も発表していないことにあまり不安はない。それでも顧客は従来、Microsoftのロードマップを期待するものだ」

 Exchange Server 2003のリリースから1年、Microsoftは今週のExchange Connectionsユーザーイベントでこの製品の成功を祝う予定だ。だが同社は新版計画などのロードマップを公表する用意はしておらず、イベント参加者はExchangeの未来についての話をあまり聞けないだろうとエイカーズ氏。

 Microsoftはこのイベントで、リリースから1年間のExchange Server 2003のライセンス売上が、Exchange 2000のそれよりも55%多かったことを発表する予定だ。さらに、同社にはこの製品の見積もり要求が17万5000件あり、3万1000人がExchange 2003の講座を受講したという。

 それでも同社は顧客をExchange環境にアップグレードさせる上で難問を抱えている。Radicati Groupは、Exchange Server 2003のシート数がExchange 5.5/2000を上回るのは2005年末以降になると予測している。

 Radicati Groupの調査では、2003年末時点でExchange 5.5ユーザーは5180万人、Exchange 2000ユーザーは4080万人、Exchange 2003ユーザーは140万人だった。2005年末時には、Exchange 2003ユーザーは4940万人に達し、Exchange 5.5ユーザーは3190万人、Exchange 2000ユーザーは4780万人の見込みだ。

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