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» 2004年11月02日 15時16分 UPDATE

IDC、「グリッドはメインストリームに」

IDCの調査によると、より効率的で低コストなコンピューティング環境に対する関心と需要が高まっている欧州では、実際にグリッドコンピューティングが商業的に実用化されつつある。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 米IDCが行った最新の調査によれば、グリッドコンピューティングはこれまで各種の障壁により、採用は技術コミュニティーに限られてきたが、今後はより広範なメインストリームの舞台で成功を収めることになりそうだ。同社によれば、向こう4年間で、西欧におけるグリッドサーバの収益は商業・技術セクターの両方で18億ドルに達する見通し。

 「西欧でのグリッドコンピューティングサーバの市場機会」と題されたこの調査は、IDCが現在初期の段階にあると考えている同市場の今後を明確に見極めるための試み。企業や組織はグリッドコンピューティングを用いることで、コンピュータ処理能力を仮想リソースとして扱い、複数の部門間で必要に応じてやり取りしたり、外部のサプライヤーからレンタルしたりできる。

 早期の応用法としては、クラスタ化された多数のPCで構成されるスーパーコンピュータのほか、科学コミュニティー(とりわけCERNの素粒子物理学研究所)における、世界中の機関からコンピュータリソースを共有するための取り組みなどがあった。そこから、グリッドコンピューティングのコンセプトは商業セクターにも広まり、IBM、Sun Microsystems、Oracle、Hewlett-Packard(HP)などの企業は、コスト削減を実現する方法としてこのコンセプトを企業向けに推進してきた。

 IDCによれば、懐疑的な見方はあるにせよ、グリッドコンピューティングは実際、欧州で商業的に実用化されつつある。IDCの欧州エンタープライズサーバ部門のプログラム担当マネジャー、ナサニエル・マーティネス氏によれば、原動力となっているのは、より効率的で低コストなコンピューティング環境に対する関心と需要だという。こうした傾向は、ITの標準化と整理統合を進める欧州企業の増加にも表れている。

 IDCは、グリッドの新興市場として、コンピューティング、データ、最適化の3つのセグメントを挙げている。商業セクターでの初期の用途はこれまでのところ、複数のビジネスサービスに及ぶリソースのプーリングと割り当てに集中している。ただし、早期の採用は主に高性能コンピューティング、特にバッチ指向の大きなグリッドに限定されている。

 IDCのマーティネス氏によれば、同氏自身はグリッドの商業的な実用化を確信しているものの、企業はまだ決して確信はしていない。「これまでの各種の技術と同様、採用は市場における早期採用者のプロジェクトの成功如何にかかっている。将来的に採用した場合の費用便益比、そして実際、遅れて採用した場合のコストの増分も重要となる」と同氏。

 現在、企業によるグリッドのより広範な採用を妨げている多くの障壁の中には、グリッド環境で実行するツールや商用アプリケーションの不足や、異種ベンダー間の製品を連係させるための業界標準の欠如などがある。標準が整わないことには、企業はグリッドを「多くの技術者やサービスを必要とする費用のかかる選択肢」として捉え続けるだろう。それでは、システムをより効率的に使い、コストを節約するという、そもそもの目的にそぐわない。

 IDCによれば、さらに企業には、事業部門間でリソースを共有することに対する文化的かつ組織的な障壁があるほか、セキュリティをめぐる懸念もある。

 Oracleが9月に行なったグリッドに関する調査では、グリッド技術の導入については英国がフランスやベネルクス3国に遅れを取っているものの、実際には英国企業のITマネジャーらはこの技術の可能性を欧州の他国よりも理解している(9月11日の記事参照)

 またこの調査では、グリッド技術について理解していると答えたITマネジャーは全体のわずか22%で、多くは同技術を現実社会のコンピューティングに即した問題というよりは、マーケティングの専門家やメディアが議論するためのテーマととらえていた。

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