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Novell、MSが説く「Linuxの事実」に“真実”で反論

» 2004年11月04日 18時27分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftのオープンソースソフトに対する「Get the Facts」キャンペーンに対抗して、米Novellは11月3日、Linuxに関する「歪められた真実を取り戻す」Webサイトを立ち上げだ。

 またNovellのジャック・メスマンCEO(最高経営責任者)は、同社顧客に電子メールを送っているところだ。同氏はこのメールの中で、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOが先週顧客に送ったメモの虚偽を指摘している。バルマー氏は顧客へのメールの中で、Windowsは経済・セキュリティの面でオープンソースソフトよりも有利だと主張し、Linuxユーザーは知財訴訟の標的になっていると警告した(10月28日の記事参照)

 バルマー氏のメールは、MicrosoftのGet the Factsキャンペーンの1周年に送られた。これは、Linuxと比較する形でWindowsの利点を宣伝するマーケティングキャンペーンだ。Microsoftがこのキャンペーンを通じてやってきたのと同様に、バルマー氏はメールの中で、WindowsはLinuxよりも優れているとする分析会社の調査結果を引き合いに出した。

 これに対してNovellは、Microsoftはアナリストの報告書から都合のいい部分だけを抜き出していると批判した。

 「Microsoftはこれらの調査から引用する部分を都合良く選んでいる。同社は不完全な根拠で、市場にFUD(恐怖、不安、疑念)を広めようとしている」とNovellの広報担当ブルース・ロウリー氏は語っている。

 実際、Microsoftが広めようとしているメッセージとは逆に、これらの調査ではまったくLinuxの文句を言っていないとNovellは主張する。例えば、WindowsとLinuxのコストを比較したYankee Groupの報告書では、Linuxは「パフォーマンス、信頼性、使い勝手、セキュリティが優れている」とも述べているとメスマン氏はメールに記している。

 しかしこの報告書を書いたYankee Groupの上級アナリスト、ローラ・ディディオ氏は、今度はNovellがLinuxを有利に見せるために、報告書から都合のいい部分を引用しているかもしれないと注意を促している。ユーザーの環境がどう見えるかによって、どちらかのOSに有利なように主張できると同氏は指摘する。

 「報告書全体を読まなければ、文脈から切り離して一部を取り出すこともできる。Novellは自身の目的のためにそれを利用しようとしている」(ディディオ氏)

 Novellはまた、Linuxベンダーは知的所有権に関する完全な免責を行っていないとのバルマー氏のコメントを取り上げた。「実際、オープンソースソフトが顧客に免責積を提供することはまれだ」というバルマー氏の言に、メスマン氏はそれは間違いだと反論している。Novellでは顧客を著作権に関する主張から保護していると同氏。

 「もしも世界がMicrosoftの言う通りなら、Linuxは世界で最も急成長しているOSにはなっていないだろう」(メスマン氏)

 Microsoftのキャンペーン、特にバルマー氏のメールを批判しているのはNovellだけではない。調査会社Decatur Jones Equity Partnersのアナリスト、ディオン・コルネット氏は11月1日のリサーチノートで、バルマー氏は明らかに、自分が正しいと主張するために調査報告書から一部を抜き出していると述べている。

 「『独立した調査』がバルマー氏の主張通り正しいのなら、AOL、Amazon、Google、Linksys――Linuxを標準とする企業――は、大規模なITインフラの運用を間違っていることになる」(コルネット氏)

 さらに同氏は、Microsoftのキャンペーンは逆効果をもたらし、Red HatやNovellなどのLinuxベンダーにほとんど影響を与えないかもしれないと考えている。「実際、(このキャンペーンは)反対に、LinuxがMicrosoftのビジネスにとって真に迫った脅威であると立証する効果があるかもしれない」と同氏。

 Novellは昨年、XimianとSUSE Linuxの買収によりLinux事業に参入した。同社はさしあたり、Get the Factsキャンペーンへの公的な反応は、Webサイトとメスマン氏の電子メールにとどめるとロウリー氏は話している。

 現時点ではMicrosoftの担当者からコメントは得られていない。

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