ITmedia NEWS > 速報 >

MS、Linux陣営に対抗し免責保証を拡大

» 2004年11月10日 15時58分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftは11月9日、オープンソースソフトに対する自社のソフトの競争力を増すための新たな試みとして、これまでボリュームライセンス顧客に限定して提供してきた免責保証プログラムを、そのほかの大勢の顧客にも拡大することを発表した。この動きについて専門家らは、マーケティング戦略としては優れているが、ユーザーにとっての実質的変化は小さいと指摘している。

 Microsoftは数年前から、ソフトのライセンスを大量に購入する顧客が同社のソフトの使用にからんで訴訟に巻き込まれた場合の免責保証を提供している。昨年、同社はこの保護措置の金額面の上限を引き上げ。そして今回、保護措置を、事実上すべての同社製品ユーザーに拡大することとした。

 「この拡大によって、さらに数百万人のユーザーを対象にできる。今日の免責保証を再検討してみて、これをほかのユーザーにも提供しない理由はないとの結論に達した」とMicrosoftのビジネス開発ディレクター、デビッド・キーファー氏は説明した。

 Microsoftによると、同社の免責保証は、特許、著作権、企業秘密、商標に関係した訴訟の費用と賠償請求から顧客を保護する。

 ベンダーの免責保証プログラムは、ユーザーのリスクを軽減するという考えから生まれており、訴訟社会と呼ばれる米国で、特に重視されている。またSCO GroupがLinuxユーザーを著作権侵害で訴え始めてから、有効性が現実味を帯びている。

 Squire, Sanders & Dempseyで知的財産権を担当する弁護士のデビッド・エルキンス氏は、なんであれ保障は好ましいが、Microsoftの免責保証拡大は、主にマーケティング面での措置のようだと指摘する。保護を必要としそうな大手の企業は、以前から保護の対象だったからだ。

 「Microsoftはその財力を使ってマーケティング上のアドバンテージを高めようとしている」と同氏は言い、規模の小さなLinuxベンダーの場合、Microsoftのような全面的な免責の提供が難しいと付け加えた。

 実際、Microsoftのキーファー氏によれば、同社はLinuxとの比較でWindowsの優位性を説く「Get the Facts」キャンペーンで、免責保証をクローズアップする計画だ。

 「免責保証も、総所有コスト(TCO)やセキュリティ、信頼性と並ぶ、プラットフォームの全体的価値を増す要素だ。比べてもらえば、主要Linuxベンダーが提供している免責保証は当社よりはるかに範囲が狭いことが分かる」(キーファー氏)

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.