米IBMは12月6日、半導体内部のトランジスタの性能を3倍に強化できる技術のデモを行ったと発表した。この技術は従来型のCMOS技術に対応しており、プロセッサの継続的な性能強化を達成する上で重要な一歩になるとしている。
この技術は、トランジスタ内部で電流が流れる重要部分である「チャネル」にゲルマニウム層を作り出すもの。ゲルマニウムはシリコンよりも伝導性が高いことが知られており、IBMのプロセスによってゲルマニウム層に作り出された歪みが、パフォーマンスの強化につながると説明している。
プロセッサの性能強化に向けて、半導体各社はストレインド・シリコン技術を導入するようになっているが、ストレインド・ゲルマニウムの方がシリコンやストレインド・シリコンよりも伝導性に優れていることは以前から知られていたとIBMは解説。これまでは、ストレインド・ゲルマニウムを従来型の回路製造技術と組み合わせる手段がなかったが、今回同社がデモを行った手法では、CMOS互換プロセスを使ったチップで目的の場所にストレインド・ゲルマニウムを配置できるという。
統合型回路の重要な部分にのみストレインド・ゲルマニウムを導入することで、ほかのデバイスやチップ上の回路の性能に影響することなく、トランジスタの性能を3倍に強化できると同社は説明している。
IBMは米サンフランシスコで開かれるInternational Electron Devices Meeting (IEDM)で、この技術の詳細に関するプレゼンを予定している。
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