ITmedia NEWS >

P2Pやスパイウェア対策――米IT関連法案、制定のめどは?(2/2 ページ)

» 2005年01月18日 18時57分 公開
[IDG Japan]
IDG
前のページへ 1|2       

スパイウェア

 スパイウェアの配布を禁止・規制する、あるいはその処罰を厳しくしようとする法案が幾つか提出された。どれも完璧な内容ではないが、試みとしては評価できるものだった。3つの法案が下院(H.R. 2929とH.R. 4661)あるいは上院(S. 2145)を通過したが、上下両院の承認を得ることはできなかった。今年はまた振り出しに戻り、法案が再提出されることになるだろう。

電子投票システム

 2004年11月の大統領選挙では、投票者の約30%が電子投票を行うことから問題の発生が危惧され、実際、問題は起きた。比較的いい知らせも幾つかある。投票結果の安全性を保つための措置として、電子投票プログラムのコードのコピーが国立ソフトウェア資料ライブラリー(NSRL)に保管されるようになったこと、今後の選挙で幾つかの州が、紙の投票記録を出力して投票人の確認を得ることを義務付ける方針であること、ネバダ州が最近の選挙で、確認用紙を出力する機能を持たない電子投票装置の使用を禁止したことなどだ。

 しかし、投票装置がまともに動くかや、悪意ある担当者による投票結果の改ざんを防ぐためにどのような対策が立てられたかには多くの関心が集まったが、選挙管理人、国会議員、投票装置ベンダー間の密接過ぎる関係や、主な投票所で投票装置が不足しているといった問題は未解決のままだ。2006年になれば、もう少しましな状況になるかもしれないが。

携帯電話番号案内

 幾つかの携帯電話会社がQsentという企業と手を組んで、2005年のサービスインをめどに、全米規模の携帯電話番号案内リストを作ろうとしている。だがVerizon Communicationsと幾つかの消費者団体は、プライバシーに対する懸念から、こうしたリストの作成に反対している(Verizonは自社の加入者はリストに載せないとしている)。米連邦議会がこの問題に介入を試みており、そうしたリストに登録する際にはユーザーの許可を得ること、および登録の抹消を無償で受け付けられるようにすることなどを義務付けた法案が上院のある委員会を通過したが、この法案の進展はそこまでだった。

 携帯番号案内推進派の各社は、この法案で提案されている保護対策の多くを提供するとしている。議会で法案審議が復活しない場合は、これら企業の言い分を信じるしかない。

児童オンライン保護法

 インターネットを閲覧する子供の保護と大人の娯楽の正しいバランスを取ろうとする議員らの試みは、相変わらず苦戦している。米連邦最高裁は1998年の米児童オンライン保護法(COPA)の適用を差し止める命令を支持した。この法律の、言論の自由に対する潜在的な有害性と合法的な成人の言論に対する委縮的効果が、この法律が扱おうとしていた児童への潜在的有害性を上回るという判断による。最高裁は、この法律の目指す結果を達成するには、例えばフィルタリング用ソフト・技術など、ほかにもっと害の少ない方法(連邦議会がCOPA以後に制定したものも含む)があるだろうと指摘、訴訟を地裁に差し戻し、原告・被告双方に、フィルタリング技術の効果の有無を立証するよう求めた。

 今回は失敗に終わったが、米連邦議会にはまた新たに、Web閲覧中の子供の安全を守るための法案が提出されるだろう。一部の読者が指摘するように、有害なコンテンツから子供を守るためのサイトの遮断を簡単に行う方法は、「.adult」や「.sex」といったドメイン名を利用することなのかもしれない。

今年進展がありそうなのは?

 このようにテーマは多いが、2005年中に実際に動きが見られるのは、スパイウェア、デジタル著作権、IP電話関連の法案のみとなりそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.