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“個人向けでは後発”のCAに勝算は

» 2005年03月23日 20時05分 公開
[ITmedia]

 コンピュータ・アソシエイツ(CA)が個人向けセキュリティソフトに参入する(関連記事参照)。米CAは売上高約33億ドルに上る世界4位の大手ソフト企業ながら、国内コンシューマーの知名度はほとんどないのが現状。先行各社の寡占が進む同分野で、CAに勝算はあるか。

 BCNによると、昨年の国内個人向けセキュリティソフト市場は、シマンテックとトレンドマイクロの2強でシェア8割を占めた。「ほとんどの客が指名買いしていく」(都内の量販店)という寡占状態な上、低価格製品で3位につけたソースネクスト(16.1%)に加え、マカフィーやスペインPanda Software、ロシアKaspersky Labsなどの参入で競争も激しい。

 しかしCAが1月に実施した市場調査によると、個人ユーザーのセキュリティソフト導入率は6割程度。また、ライセンス切れなどのタイミングで別の会社の製品を購入したというユーザーも4割いた。国内ウイルス対策ソフト市場は年平均約24%で成長が続くという予測もあり、「成熟し切っているとは言えない状況。ニーズに応えることで十分勝機はある」(長谷一生コーポレート本部ビジネスディベロップメント・ディレクター)。

 CAが発売する「eTrust PestPatrol アンチスパイウェア 2005」は、同社が昨年買収したPestPatrolのスパイウェア対策ソフト最新版。長谷氏によると、「他社のスパイウェア対応ウイルス対策ソフトでは、数百種類しか発見できない」が、PestPatrolは約12万種類のスパイウェアを検知できるという。ウイルスの“次”としてスパイウェア問題の深刻化が懸念される中、先行して対応してきた実績をPRする。

 「eTrust アンチウイルス 2005」は、クライアントソフトを可能な限り小さくする企業向けソフト技術を活用。他社製品に比べ「HDD使用量で10分の1、メモリは半分で済む」(長谷氏)という軽快さが売りだ。両ソフトが冠する「eTrust」ブランドが、企業向け分野で培ってきた技術力と信頼性が新規参入の武器になる。

 やはり課題は知名度だ。米国で個人向け製品を発売したのは昨年4月。これに先立ち、Microsoftと組んで同社製セキュリティスイートを1年間無償で提供するキャンペーンを展開した(関連記事)。日本でもWindows XP SP2から誘導したり、量販店と共同で店頭プロモーションを行うなどし、一般ユーザーへの露出を高めていく作戦だ。

 知名度向上は、主力の企業向けビジネスにもプラスになるとの思惑もある。特に中小企業向け市場の開拓を進めるにはブランド認知が重要。三ッ森隆司社長は「コンシューマー向け製品の発売は、CAブランドを知ってもらうためのアクションの1つ」と話している。

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