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Motorola、初のカーボンナノチューブHDディスプレイを試作

» 2005年05月10日 10時59分 公開
[ITmedia]

 米Motorolaの研究部門Motorola Labsは5月9日、独自のカーボンナノチューブ(CNT)技術を採用したカラーディスプレイのプロトタイプを発表した。同社はこれを「現行製品より画質が優れ、寿命が長く、低コストな大型フラットパネルディスプレイを生み出すブレークスルー」としている。

 この業界初のワーキングプロトタイプは大画面高精細テレビ(HDTV)に最適化され、サイズは5インチ、厚さは1インチ足らず。解像度1280×720ピクセルの42インチディスプレイの一部として設計されている。Motorola Labsの「Nano Emissive Display(NED)」技術によりこうしたディスプレイの開発が可能になったと同社は述べている。

 同社のNED技術はCNTを直接ガラス上に形成させ、エネルギー効率の高い設計を可能にする。この独自のCNT形成プロセスは、素材を分子レベルで非常に高い精度で設計、操作でき、フラットパネルディスプレイの場合は高精細の画像を生み出す。この技術は、他社が採用している有機ペーストによりCNTを陰極に塗布する手法を上回る電子放出性能を示したという。

 「CNTとフラットパネルディスプレイにおける15年を超える経験と160件の特許により、われわれは現行よりも低コストで優れた視覚体験を提供する次世代大型フラットパネルディスプレイを実現する技術を開発した。今は市販できるソリューションの開発に向けてディスプレイメーカーと協力することを楽しみにしている」とMotorolaの技術インキュベーション・商用化担当副社長ジム・オコーナー氏は発表文で述べている。

 また調査会社DisplaySearchの副社長兼CFO(最高財務責任者)バリー・ヤング氏によれば、「当社のコストモデル分析によると、40インチのNEDパネルの製造コストは推定で400ドルを下回るかもしれない」という。

 MotorolaのNEDディスプレイに関するもっと詳細な情報は、5月22〜27日にボストンで開催の第43回Society for Information Display(SID)シンポジウムで明らかにされる予定だ。

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